210 名前: ('A`)ドクオは伝えきれなかったようです 投稿日: 2008/07/13(日) 18:11:26.79 ID:e74JWAvE0

全てが白に統一され、周りを拒絶するほど清潔な部屋。
周期的に音を立て、折れ線グラフを形作る心電図。
ぽたりぽたりと重力に従い、落ちていく点滴。
そしてぼんやりとそれらを見渡す自分。

全てにおいて真っ白で、全てにおいて無機質。
だがその無機質な部屋の中に、彩りを添える存在が一つ。

('A`)「おはよう。昨日は良く眠れたか?」

ノハ )

…『彼女』だ。

細かった腕はさらに細くなり、骨と皮だけに。
目はあのときの輝きを失い、虚ろである。
それはまるで、周りの景色に溶け込もうとしているようだ……。

ノハ )「ああ、今日は学校はないのか? 」

('A`)「今日は日曜だ」

ノハ )「そうか…」

会話が途切れる。沈黙に耐え切れなくなった俺は手を握る。
それに呼応するかのように彼女も口を開いた。

ノハ )「少し昔の話をしないか? 」

('A`)「あぁ、いいぞ? 」



211 名前: ('A`)ドクオは伝えきれなかったようです 投稿日: 2008/07/13(日) 18:13:06.81 ID:e74JWAvE0

──────…

(;'A`)「だから何度も言ってるじゃないですか!持ってないんです!!」

DQN1「うるせーさっさと金出せよwww」

DQN2「俺ら忙しいの!今からカラオケなのよwww」

昔、俺はいじめられていた。

人を避ける性分から教室では腫れ物のような扱いを受け、
一歩外に出るとこうやってカツアゲ。もう慣れてるとはいえ、正直疲れていた。

(#)A`)「おうふ」

DQN1「じゃーなードクオーwww」

DQN2「またよろしくなーwww」

これから先もずっとこんな生活が続くと思っていた。
だがそれは驚くほどあっけなく、

『ぉぉぉぉおおおおおおおおお!!!!』

文字通り大きな音を立てて崩れた。

ノハ#゚听)『らあああああああああああああ!!!!』



213 名前: ('A`)ドクオは伝えきれなかったようです 投稿日: 2008/07/13(日) 18:17:00.07 ID:e74JWAvE0

見事なドロップキックがDQNに炸裂した。
少し骨のきしむ音、そしてDQNの叫び声が後に残る。

DQNの一人が二回、三回、とバウンドしてどこかへ消えた。

DQN2「だ、誰だゴルァー!チャースゾ!!」

ノハ#゚听)「私の顔を忘れたかああああ!!」

DQN2「ひ、ひいぃあんたは!!」

DQNがぺたんと尻餅をつき、慌てて逃げようとしていた。
だが足がもつれてうまくいかない。

ノハ )「私はこのVIP学園、生徒会長…」

ノハ#゚听)「素直ヒート様だあああああああああああ!!」

DQN2「うわああああああぁぁぁぁ……」

彼女のすばやいローキックが炸裂したのと、彼がお星様になったのはほぼ同時だった。
そして彼女は踵を返し、こちらへとやってくる。

ノハ )スタスタ

(;'A`)「ひぃ!!」

つい声が裏返る。あんなものをお見舞いされてはたまったもんじゃない。
だがその感情とは裏腹に足がすくんでしまった。万事休すか…。



215 名前:
('A`)ドクオは伝えきれなかったようです [sage] 投稿日: 2008/07/13(日) 18:20:02.43 ID:e74JWAvE0

(;'A`)「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

何に対する謝罪なのか、ただひたすらに謝った。
気付けば眼前に手を差し出していた。

(;'A`)「ごめんなさーい!!」

すでに俺は土下座をしていた。
だが彼女はクスクスと笑いで返答した。

(;'A`) ?

ノパー゚)「大丈夫か?」

彼女の手が俺の手をつかむ為に差し出されている事に気付いたのは、俺が顔を上げてからだった。
彼女との出会いはこんなものだった。思えば出会ったときから謝っていたのか。

──────…

あのときから、彼女は俺のそばを付いて離れなかった。

決して、カポーになったとかそういうわけじゃない。なんでも本人曰く、

ノパ听)「お前がいじめられないように見張っているんだあああああ!!」

…らしい。生徒会長のお仕事なのかどうなのか…



216 名前: ('A`)ドクオは伝えきれなかったようです [sage] 投稿日: 2008/07/13(日) 18:21:08.36 ID:e74JWAvE0

('A`)「生徒会長って意外に暇なんだな」

ノハ#゚听)「なんか言ったか!? 」

('A`)「ごめんなさい」

あの時は生徒会長である事を疑ったが、どうやら本当らしい。

就任のときは遠くのほうでしか見なかった為、わからなかったが。
話しによると彼女は頭が良く、運動も出来る文武両道を兼ね備えた逸材らしい。
曲がった事が嫌いな性格から教師から「この学園を浄化する為に」と大抜擢されたそうだ。
到底そんなふうには見えないが…
そんなスーパーマンな彼女が俺に何度も何度も構った。

ノパ听)「子猫拾ったぞおおおおお!!ドクオ!ミルク!!」

('A`)「もってないっすごめんなさい」

ノハ#゚听)「むきいいいいいい!!」

とか、

ノパ听)「明日はテストだああああああ!!」

(;'A`)「うそん!休みてぇ!!」

ノハ#゚听)「何を馬鹿のことを!!勉強するんだぞおおおおおおお!!」

(;'A`)「はーいごめんなさーい」



217 名前: ('A`)ドクオは伝えきれなかったようです [sage] 投稿日: 2008/07/13(日) 18:22:32.84 ID:e74JWAvE0

とか。ともかく何度も何度も隣のクラスから足を運んでこちらにやってくるのだ。

いつもなら自らの存在を空気と同化するべく息を殺している自分だが、
こう何度も大声で叫ばれては擬態の意味は無くなる。俺は丸裸の状態で教室にいた。

すると不思議な事に、

ノパ听)「ドクオ!今回の出来はどうだ!!」

('A`)「微妙」

ノハ#゚听)「ぐぬぬ、日頃の精進が足りんからだああ!!」

(;'A`)「はい!ごめんなさい!!」

(*^ω^)「おっおっおっ!二人はいつもおもしろいお!!」

ノハ*゚听)「え、そうか?」

人が寄ってきたのだ。

( ^ω^)「僕、内藤ホライゾンだお」

ノパ听)「おぉ!よろしくよろしく!!内藤君」

( ^ω^)「ブーンでいいお!!」

(;'A`)「ぶぶぶブーン…よよよよろしく…」



218 名前: ('A`)ドクオは伝えきれなかったようです [sage] 投稿日: 2008/07/13(日) 18:23:47.17 ID:e74JWAvE0

ノハ#゚听)「挨拶は大きくはっきりとぉおおおおお!!」

(;'A`)「ひいぃ」

(*^ω^)「おっおっおっ」

彼女の持ち前の明るさのおかげだろうか、人はどんどん寄ってきて…

( ^ω^)「今度どっか遊びに行かないかお?」

('A`)「おぉどこ行く?」

ξ゚听)ξ「あたしカラオケがいい!!」

(´・ω・`)「僕は遊園地がいいな」

(;'A`)「おいおい子供じゃあるまいし…」

(´゚ω゚`)「ぶち殺すぞ」

(;'A`)「ごめんなさい」

ノパ听)「そういえば花火大会もうすぐじゃないか?」

(*^ω^)「おっおっ!多数決の結果花火大会に決定だお!!」

ξ#゚听)ξ「多数決とって無いじゃない!下心丸見えよ!!ブーン」

いつの間にか友達が出来ていた。



221 名前: ('A`)ドクオは伝えきれなかったようです [sage] 投稿日: 2008/07/13(日) 18:25:08.35 ID:e74JWAvE0

──────…

火の玉がヒュルルルと高い音を立て、点へと昇っていく…
そして爆音と共に火が火を生み、大きな花を咲かせる。
人々の歓声が沸く。
屋台は賑わい、人の流れは途切れることなく…
色とりどりの浴衣や光り物が際限なく広がっていた。

ξ゚ー゚)ξ「綺麗ね…」

( ^ω^)「おーん綺麗だお!でもツンの浴衣姿のほうが綺麗だお!!」

ξ///)ξ「ほ、褒めてもなにも出てこないんだからね!!」

(*^ω^)「おっおっ!ツン好きだお!!」

ξ///)ξ「っんもう!!」

('A`)「今、酷いバカップルを見た」

(´・ω・`)「ドクオ、好きだ」

('A`)「寄るな。そしてズボンを下ろすな」

ノハ*゚听)「綿飴おいしい!!たあああまやあああああああ!!」



222 名前: ('A`)ドクオは伝えきれなかったようです [sage] 投稿日: 2008/07/13(日) 18:26:56.27 ID:e74JWAvE0

また火の玉が上がり、花を咲かせる。
時に周期的に、時にリズミカルに、そして時に不規則に…

そのたびに色とりどりに照らされる彼女の顔を見て俺は思った。

ノハ*゚听)「ドクオ!!綺麗だな!!」

('A`)「あぁ…綺麗だ……」

(´・ω・`)(さーってそろそろかな…)

(´・ω・`)「焼きそば食べたくなっちゃった、買って来るね」

ノハ*゚听)「あ、あたしの分も!!」

(´・ω・`)「わかった。じゃあドクオもあわせて3人分買って来るよ」

('A`)「お、じゃあ金渡しとくわ」

(´・ω・`)「お金はあとでいいや、早く食べたいんだ」

そういってショボンは人ごみへと消えていった…。

('A`) …

(*'A`)=3(ショボンナイスゥゥゥゥゥ!!)

俺はこの空気なら告白できると思った。
いつからか俺は彼女が好きになっていた。俺を救ってくれたこの女神が好きだったんだ。



228 名前: ('A`)ドクオは伝えきれなかったようです [sage] 投稿日: 2008/07/13(日) 18:41:36.71 ID:e74JWAvE0

('A`)「ひ、ヒート…?」

ノパ听)「ん?なんだ」

───今思えば…

('A`)「実は俺…お前の事が…」


───この時が…


(;'A`)「す…す…す…」
  _, _
ノパ听)「す?」

(;'A`)「す…す…すまんこ!!」

  _, _
ノパ听)     ('A`;)

───最後のチャンスだったのかもしれない…


(;'A`)「え…あ…すまん…こ」

  _, _
ノパ听)「すまん…こ? すまんこ…すまんこ…酢、まんこ…」



230 名前: ('A`)ドクオは伝えきれなかったようです [sage] 投稿日: 2008/07/13(日) 18:47:26.73 ID:e74JWAvE0

ノパ听)そ ハッ

ノハ#゚听)「あたしのモノは酢漬けになってなどおらんわあああああ!!」

(;'A`)「ひいいいいいぃぃぃぃごめんなさあああい!!」

──────…

それからしばらくの事だった。

ノパ听)「ドクオ、模試の結果どうだった?」

('A`)「ホレ…こんなもんだ」

彼女はまじまじと成績表を見て、一言

ノハ;゚听)「なんじゃこりゃ?」

('A`)「見ての通りでやんす」

昔、いじめのせいで学校に来れない日が多く、かといって塾など行くほどの気力はなく…。
ずるずると引きずってきたいじめの副作用が今になって本領発揮した。

ノハ;゚听)「こんなんじゃどっこの大学もいけないぞ…」

('A`)「そういうお前はどうなんだよ」

そういって彼女の見せてもらう。全ての判定がAだった。ランクが低いわけではない。



234 名前: ('A`)ドクオは伝えきれなかったようです [sage] 投稿日: 2008/07/13(日) 18:51:41.51 ID:e74JWAvE0

('A`)「天国大、ラウンジ大、ニュー速大…全部トップクラスの国立じゃないか!
    ヒートってやっぱり頭いいんだな!!」

ノハ#゚听)「やっぱりとはなんだあああああああ!!」

('A`)「ごめんごめん。しっかし、それに比べて俺は…」

自分の成績表を見る。なるべく偏差値の低い大学を書いたがそれでもオールEだった。

('A`)「やっぱり俺はウンコ野郎なのかね…」

気付けばこうやってみんなと仲良くやってるが、それは全てヒートのおかげだ。
俺自身は何も変わっていない。もしヒートがいなくなれば俺は昔に逆戻りだろう。

そして頭の中身は無いに等しい。親からも期待されていない。
だから勉強しろだのなんだのの叱咤は受けた事が無い。

もし俺がこの高校を出たら、いったい俺には何が待っているんだろう…?

('A`)「…努力しても無駄なんかね?就職口探そうか」

何もない。何も…

ノパー゚)「お前ならできるさ!!」

驚いた。

ノパー゚)「今からやればできる!一緒に勉強しよう!!」



239 名前: ('A`)ドクオは伝えきれなかったようです [sage] 投稿日: 2008/07/13(日) 19:00:24.72 ID:e74JWAvE0

あぁ彼女はこんな俺でも見捨てないのかと、親にすら見捨てる俺を見捨てないのかと。
そして少し涙が出た。

('∀;)「お、おう!!」

ノパー゚)「よっしゃ!!がんばるぞおおおおお!!」

ノパー゚)

ノパ听)

ノハ; )バタン

('A`)「…え?」

そして彼女は倒れた。まるで棒切れのようだった。

──────…

診断の結果、彼女は肝臓癌だったらしい。
まったく気付かなかった。少し肌が黄色くなったりやせ細ったりという兆候が見えるらしい。
言われて見ればわかる程度だった。それでも病魔は徐々に、でも確実に彼女の体を蝕んでいたらしい。

( ;ω;) ξ;凵G)ξ ……。 ('A`)(´・ω・`)

手術室前でぼんやりとしている俺達に一人の女性がやってきた。

川 ゚ -゚)「…ヒートの姉のクールです」



241 名前: ('A`)ドクオは伝えきれなかったようです [sage] 投稿日: 2008/07/13(日) 19:07:51.48 ID:e74JWAvE0

そして彼女は深々と礼をした。つられて俺達も礼をする。

川 ゚ -゚)「いつもヒートがお世話になっているようで…」

('A`)「いや、むしろこちらがお世話になってます」

簡単なやり取りを終えて僕達の横に座る。そして僕達と同じように真っ赤に光った『手術中』の文字を見ていた。

川 ゚ -゚)「ヒートがまさか癌だとは…まるで笑い話だな…」

( ;ω;)「そんな言い方ないお!!」

(´・ω・`)「ブーンやめなよ!!」

川 - )「あいつはいつも元気だった。いつも近所から苦情が来るくらいね」

川 - )「そういえば、この前も『悪党を懲らしめた』とか何とか言ってたな」

川 - )「そんな最強の生徒会長が、いま病魔にやられている。こんな笑い話はないだろ?」

川 - )「アイツは負けるはず無い…負けるはず、無いんだ…」

クールさんが膝に置いた手をきつく握り締めているのを見て、俺はいたたまれない気持ちになった。

手術が終わった。一応癌は摘出したそうだ。
しかしあまりにも発見が遅れた為肺に転移してる可能性があり、その場合助かる見込みが少ないらしい。
それだけ言い残して医者は去った。



242 名前: ('A`)ドクオは伝えきれなかったようです [sage] 投稿日: 2008/07/13(日) 19:12:11.68 ID:e74JWAvE0

──────…

そしてはじめてのお見舞いの日…

('A`)「ヒート!入るぞ!!」

( ^ω^)「ヒート元気かお!!」

そこにはかつてのヒートはいなかった。

ノハ )

川 ゚ -゚)「あぁ君達か」

クールさんは俺達に説明した。
肺への転移が認められた事、抗がん剤の投与を始めたこと。

そしてヒートはその副作用でこのようにやせ細った事…。

ブーンとツンはそれだけでわんわん泣いていた。

( ;ω;)「かわいそうだお!ヒート!!かわいそうだお!!」

ξ;凵G)ξ「なにか欲しいものある?なんでもしてあげるから!!」

ノハ )「……いで」

ξ;凵G)ξ「なに?何を言ってるの!? 」



245 名前: ('A`)ドクオは伝えきれなかったようです [sage] 投稿日: 2008/07/13(日) 19:15:26.94 ID:e74JWAvE0

ノハ )「見ないで!!もう来ないで!!」

そういって彼女は周りのものを次々と投げつけ始めた。枕、果物、花束…

ξ;゚听)ξ「ちょ、ちょっと」

ノハ )「早くどっかいってよ!!」

(´・ω・`)「ブーン、ツン行こう」

(;^ω^)「で、でも…」

(´・ω・`)「いいから!!」

( ´ω`)「…わかったお」

そういって三人は出て行った。俺を残して

('A`)「ヒート…」

ノハ )…。

('A`)「お前、俺に言ったよな?俺もやれば出来るってさ」

('A`)「そんなお前が、諦めるのか?」

返事は無い。それでも俺は続けた。

('A`)「俺、がんばってニュー速大行く」



248 名前: ('A`)ドクオは伝えきれなかったようです [sage] 投稿日: 2008/07/13(日) 19:20:24.24 ID:e74JWAvE0

ノハ ) !

('A;)「だからお前もがんばれよ!がんばって治せよ!!そしてまた俺を叱ってくれよ!!」

気付けば涙が出ていた!

(;A;)「お前が諦めてどうするんだよ!!」

そうだ、俺はこいつにいろいろ救われた。その恩を今返す…。

(;A;)「待ってるぜ……」

そういって俺は病室を去った。

それから俺は人が変わったかのように勉強した。
毎日毎日、夜遅くまで…。寝不足だろうが血反吐を吐こうが俺は頑張った。頑張れた。
彼女はこの倍以上の苦しみと戦っているのだと思うと、頑張れた。
そう、俺は昔の俺と違った。みんながいた。そして彼女がいた。

だから俺は受かった。約束を果たした。

──────…

('A`) …

その結果を言いにここに来た。そしてそのお礼を、俺を変えてくれたお礼を言いに来たんだ。

ノハ )「あんたってさーいつもいつも…ごめんなさいごめんなさいっていうよねー…」



249 名前: ('A`)ドクオは伝えきれなかったようです [sage] 投稿日: 2008/07/13(日) 19:28:05.46 ID:e74JWAvE0

('A`)「あぁ、そうだな。きっと口癖なんだよ」

そしてそれはこれから先も治らないだろう。

ノハ )「ほんっと…治したほうがいいよ?」

('A`)「なんで?俺は別にこのままで構わないと思うけど」

ノハ )「だってあんた、受かったんでしょ?」

お見通しだったか。何となく唇の端が緩む。

('ー`)「…あぁ」

ノハ )「ほんとよくやるよ…正直そんなの無理だと思ってたからさ」

('A`)「うるせーよ」

ノハ )「えへへ…」

すこし笑って、彼女は大きく息を吸った。

ノハ )「良かった…あんたが幸せで…ドクオ」

ノハ )「…あんたに会えてよかった…」

('A`)「お別れみたいな事言うなよ。お前だって生きるんだろ?」

ノハ )「えへへ…すこし、眠るね?」



251 名前: ('A`)ドクオは伝えきれなかったようです [sage] 投稿日: 2008/07/13(日) 19:32:04.02 ID:e74JWAvE0

(;'A`)「お、おい!待てよ!!まだ言いたい事があるんだよ!!」

ピ──────…

('A`)「…え?」

その電子音が末永く、そして虚しく…

無機質なこの空間に、俺の胸に響き渡る…

(;'∀`)「うそ…だろ?」

途端に外で待ってもらっていたクールさんが血相を変えて飛び込んでくる。

川;゚ -゚)「ヒート!ヒート!!クソッ!!」

クールさんはナースコールを連打していた。

(;'∀`)「嘘だろ?なぁ!!生きるんだろ!?」

(;'∀;)「まだ言ってないんだよ!!言いたい事はまだ言ってないんだよ!!」

(#;A;)「目を覚ませよおおおお!!」

──────…

俺に喪服が似合うとは、知らなかった。知りたくもない大発見だ。

その後葬儀がヒートの家で行われた。そこにはブーンたちの姿もいた。



255 名前: ('A`)ドクオは伝えきれなかったようです [sage] 投稿日: 2008/07/13(日) 19:41:07.09 ID:e74JWAvE0

棺の中の彼女の顔は穏やかに微笑んでいた。

葬儀が終わって外に出ると、美しい星空が俺を迎えた。

('A`)「綺麗だな。お前もそこにいるのか?ヒート」

ふと、花火大会を思い出す。あのときの彼女の横顔はこの星空以上に輝いていた。

('A`)「…結局伝えられなかったな…」

結局ヒートは去ってしまった。やりきれない思いだけが残る。

「何をですか?」

振り向くとクールさんがいた

川 ゚ -゚)「どうも。お隣宜しいですか?」

('A`)「…どうぞ」

クールさんが俺の隣へとやってくる。そしてまた俺に問うた。

川 ゚ -゚)「あなたは、ヒートが好きだったんですか?」

しばし返答に迷い、

('A`)「えぇ。もちろん」

川 ゚ー゚)「そうですか」



259 名前: ('A`)ドクオは伝えきれなかったようです [sage] 投稿日: 2008/07/13(日) 19:46:44.74 ID:e74JWAvE0

('A`)「でも伝えられなかった」

川 ゚ -゚)「思いをですか?」

('A`)「いえ、それよりも俺はもっと大事な言葉を伝えたかったんです」

クールさんは首をかしげ、何ですかとまた聞く。

('A`)「ただ、『ありがとう』。それだけは伝えたかったんです」

自分を救ってくれた彼女に、自分を変えてくれた彼女に、そして自分を信じてくれた彼女に。
…彼女の全てに、俺は感謝したかった。

川 ゚ー゚)「なるほど…さすがヒートが見込んだ男だけあるな」

('A`)「どういう意味ですか?」

川 ゚ ー゚)「ヒートは見舞いに来た私にいつも話をしてくれるんです。君の話をね」

川 ゚ ー゚)「とても楽しいそうにです。あんなにいきいきした顔を見たのは初めてかもしれない」

川 ゚ ー゚)「君がヒートに感謝するのはわかる。だがヒートも君に感謝してたよ」

川 ゚ ー゚)「『ドクオといると毎日が楽しい』ってね」

もう一度星を見た。ゆらゆらと光が揺れていた。



260 名前: ('A`)ドクオは伝えきれなかったようです [sage] 投稿日: 2008/07/13(日) 19:51:08.80 ID:e74JWAvE0

川 ゚ -゚)「君は、自信を持っていい」

クールさんはそのまま踵を返し家へと戻っていった。
「彼女のように、幸せを振りまいてくれ」と、そう言い残して……
そして再び沈黙が襲う。
確かに俺は伝えられなかった。でもそれは今じゃなくていい。
そうか、まだ俺は恩を返しきれていないのだ。

('A`)「俺は、人の役にたっていたのか?」

('A`)「これからも人を幸せに出来るのか?」

('A`)「いつも迷惑かけていた、この俺が?」

彼女の言葉を思い出した。

ノパー゚)『お前ならできるさ!!』

記憶の中の彼女は、まぶしかった。

('A`) …

('∀`)「あぁ!!」

彼女はきっと見ている。あの星空で待っている。
自らの生を全うしたとき、彼女に伝えよう。
あのとき笑ってくれた彼女に。

('A`)「…ありがとう」



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