908 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/01/18(日) 21:47:21.23 ID:/kKPR47N0
凍えそうになるほどの気温の中、僕はアパートの自室で独りきりでアルバイト募集の雑誌を読んでいた。
理由は当然バイト探しだ、この前していたバイトで大きなミスを犯してしまい首にされたのだ

('A`)「なんかいいバイトないかな……」

雑誌をめくっていると、ある文字が飛び込んできた。
それは幼い頃の僕の常識現実夢理想家庭友人関係全てをぶち壊した、僕が今まで一度も忘れる事の無かった言葉だ。

('A`)蹴り上げて体が浮いた所に空中固定デンプシーのようです

910 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/01/18(日) 21:48:23.10 ID:/kKPR47N0
('A`)「ここが蹴り上げて体が浮いた所に空中固定デンプシー道場か……」

僕は雑誌の広告を見てすぐに蹴り上げて体が浮いた所に空中固定デンプシー道場に向かった。
デンプシーとは、デンプシーロールの略である、詳しい事はググレ。

「蹴り上げて体が浮いた所に空中固定デンプシー道場」
この道場は常に新規者を欲しており、いつでも入れるらしい。
なぜバイト募集の雑誌に載っていたかは不明だが、一説では蹴り上げて体が浮いた所に空中固定デンプシーを求めている者にのみ見えるらしい。

この道場では何をするのか、単純明快だ。
蹴り上げて体が浮いた所に空中固定デンプシーを習得するための道場なのだ。

蹴り上げて体が浮いた所に空中固定デンプシー道場の大きさは一戸建て二つ分ぐらいだ。
道場としては少し小さいこの建物に、今僕は足を踏み入れようとしていた。

912 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/01/18(日) 21:49:24.57 ID:/kKPR47N0
蹴り上げて体が浮いた所に空中固定デンプシー道場の扉を開けた瞬間、僕は熱気に包まれた。
数千人はいようかと思われる門下生、しかもそれと同等の数の師範代もしくは師範が付いて、一対一で丁寧に蹴り上げて体が浮いた所に空中固定デンプシーを教えている。

僕がふと上座を見ると、一人の男が立っていた。
おそらくこの男が蹴り上げて体が浮いた所に空中固定デンプシー道場創設者シャキン・蹴り上げて体が浮いた所に空中固定デンプシーだろう。

('A`)「……」

(`・ω・´)「……」

言葉は要らなかった。
お互いを目にしたときに全てわかったのだ、生い立ちから死の時まで。
そして、すでに勝負は始まっているという事を。

913 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/01/18(日) 21:50:15.47 ID:/kKPR47N0
(#'A`)「おらあ!」

(#`・ω・´)「ふんぬぅ!」

勝負は一瞬で付いた。
俺がシャキンに蹴り上げて体が浮いた所に空中固定デンプシーを仕掛けた所を、返されたのだ。
蹴り上げて体が浮いた所に空中固定デンプシー返し。
こんな荒業をやりきる人間がいるとは思わなかった。

(#`・ω・´)「そーれ!勃起!勃起!」

(;A;)

空中15mで左右の連打を喰らっている中、俺は涙を流していた。
痛みからではない、幼い頃家庭を崩壊させられた恨みでも負けた悔しさでもない。
悦びだ。
蹴り上げて体が浮いた所に空中固定デンプシーが終った頃には、もう涙は出なくなっていた。

915 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/01/18(日) 21:51:05.36 ID:/kKPR47N0
(`・ω・´)「……うちで修行をしろ」

負けた俺に対してシャキン師範はたった一言声を掛けた。


そして じゅうねんのつきひが ながれた


俺は妻や子供も出来て体つきも良くなっていた。
妻や子供を養うために仕事はしているが、蹴り上げて体が浮いた所に空中固定デンプシー道場に通う事だけはやめていない。
あの日から俺は毎日蹴り上げて体が浮いた所に空中固定デンプシーの練習をしているが、いまだに免許皆伝を貰えていない。

だが、今日は少し違う。
普段ならば呼び出しされる事など無いのだが、今日に限ってシャキン師範から道場へ来いと呼び出されたのだ。

916 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/01/18(日) 21:52:35.41 ID:/kKPR47N0
十年前とまったく変わらない、蹴り上げて体が浮いた所に空中固定デンプシー道場へ入ると、いつもとは違った雰囲気に包まれた。
普段なら数万人はいる門下生及び師範師範代が一人もいないのだ。
その上、普段上座がある位置にぽっかりと穴が開いている。

('A`)「ここに入れって事か?」

俺は意を決して穴に付いている階段を下りていった。


階段を下りた先は、ひんやりとしたコンクリートに包まれた地下室だった。
正面には巨大なモニターと、でかい額縁に「蹴り上げて体が浮いた所に空中固定デンプシー」と書かれている紙が飾ってあった。

ふと隣を見ると、いつの間にかシャキン師範がいた。

(`・ω・´)「ドクオよ、お前は十年間ひたすら頑張ってきた。
それに免じて免許皆伝をやろう。
このボタンを押す事で、お前は始めて完璧な蹴り上げて体が浮いた所に空中固定デンプシーを習得する事になるのだ」

シャキン師範の指差す方向には、蹴り上げて体が浮いた所に空中固定デンプシーと書かれたボタンがあった。
俺は一歩ずつ踏みしめるようにボタンに近づいていく。
ボタンにたどり着いた時、俺の心臓は張り裂けそうになっていた。

そして、自分の目の前にあるボタンを押した。

(`・ω・´)「さて問題です!この物語の中で何回蹴り上げて体が浮いた所に空中固定デンプシーと書いたでしょう!」


(#゚A゚)「それが言いたかっただけかああああああああああ!」

俺は、シャキン師範に完璧な蹴り上げて体が浮いた所に空中固定デンプシーを決めていた

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