156 名前:('A`)ドクオが連れ帰るようです:2007/12/26(水) 16:26:55.90 ID:FlnD9Ih90

―――人類滅亡寸前まで宇宙人に侵食された時代。


お前のおかげで世界は救われたんだ。お前のおかげで俺達は生き残ったんだ。
政府のお偉いさん達も喜んでいたよ。お前の作った兵器で宇宙人を殲滅したって。
お前が英雄と言われるようになった日。あの時お前は母親の形見の鉛筆一本だけ持って兵器を作動させた。

あの戦争の日から3年と3日が経過したよ。

なぁ、ブーン今度はどうすりゃ良いんだよ。教えてくれよ。
今度はお前が居ないんだ。今度こそ人類滅亡だな。
あの時みたいに発明してくれよ。今度は俺がやるからさ。


('A`)ドクオが連れ帰るようです



159 名前:('A`)ドクオが連れ帰るようです:2007/12/26(水) 16:30:29.80 ID:FlnD9Ih90

ミ;,,゚Д゚彡「ドクオ!何をしている!」

あぁ。そろそろ行かなきゃならないらしい。
すまない。また来るよブーン。

('A`)「親友の命日ぐらいゆっくりさせてくれないか?」

ミ;,,゚Д゚彡「・・・すまない。だがもうそこまで宇宙人が来ている・・・急がないと死ぬぞ」

ブーンが人類滅亡確実と言われた時に、宇宙人を殲滅できる兵器を発明した。
通称BOON。発明者のブーンからとったらしい。
ブーンがその名を望んでいたかは知らないが。

ミ;,,゚Д゚彡「来やがった!」

同僚のフサギコが叫んでいる。
フサギコや俺のような3年前の戦争時に宇宙人との戦闘経験がある奴は、
小隊の隊長だったはずなのだが、隊員の姿は見当たらない。
自分だけ逃げて来たとでも言うのか最低な野郎だな。
隊長を拒否した俺も同じようなものだが。

('A`)「フサギコ、お前実戦訓練では成績良かっただろ」

ミ;,,゚Д゚彡「くっ・・・3年前とは敵が違うんだ」



160 名前:('A`)ドクオが連れ帰るようです:2007/12/26(水) 16:32:15.26 ID:FlnD9Ih90

何を言うか、3年前も逃げ惑っていただけの癖に。
実践訓練で俺に偉そうなことを言っておきながら実践では逃げる。
などと考えながらも腰に帯刀してある刀を抜こうと―――あれ?

あぁそうか。墓参りに武器なんて物騒なもの要らないよなって事で置いてきたんだ。
俺の目の前で迫り来る宇宙人に怯えているフサギコにそのことを伝える。

('A`)「すまんフサギコ。武器部屋に置きっぱなしだわ」

ミ;,,゚Д゚彡「はぁ!?何考えてるんだお前!」

いやそんな事いわれても。
既に数匹(人?)の宇宙人が50メートル先には居ると言うのにどうも俺は真剣になれない。
別にここで死んでも良いと言う気持ちさえある。

ミ;,,゚Д゚彡「とりあえずコレ使え!」

そう言って投げ渡してきたのは銃剣。
いや確かに武器忘れた俺が悪いけどさ。あんた剣系しか訓練で使ってなかったじゃねぇか。
その背中に背負っている超重鈍器を俺に渡せよ。
持てる保障は無いけど。



161 名前:('A`)ドクオが連れ帰るようです:2007/12/26(水) 16:37:10.53 ID:FlnD9Ih90

銃剣って歩兵が持つべき最低限の武器だろ。
相手の顔が見える距離で人を殺す行為への訓練をつむため、
剣の部分って、弾丸の尽きた後の最後の武器として使用されているぐらいじゃねぇか。
しかもこれ弾装填されて無いぞ。嫌がらせかこの野郎。

ミ#,,゚Д゚彡「おらあああああああああああ!!」

フサギコが己の体を中心にして超重鈍器を振り回している。
漫画でよく見るような火星人体系の数匹(人?)の宇宙人が吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。
頭が裂けて中から緑色の脳汁が飛びだした。

気持ちわりぃ。これだけはどうしても慣れそうに無い。
始めてみた時は嘔吐してしまったが、今は耐えられる。

フサギコだけに頑張らせる訳にも行かないので、目の前に存在する宇宙人の頭を切り裂く事にした。
こいつらを相手にするときは確実に頭を狙えと訓練で教えられたし、実戦で試してみたところ効果も出ている。
先程の脳汁を全て出させるか、脳を潰さなければいけない。

(#'A`)「せーの・・・っと!」



162 名前:('A`)ドクオが連れ帰るようです:2007/12/26(水) 16:39:53.75 ID:FlnD9Ih90

火星人体系の頭部。キノコみたいな形の頭を剣の部分で横一文字に切り裂く。
俺の存在に気付いていないので、存分に狙いを定めることが出来た。
宇宙人が緑色の脳汁を撒き散らしながら地面に倒れこむ。
少し顔に飛んできた、汚ねぇな。

ミ,,゚Д゚彡「終わったか・・・?」

宇宙人の死骸がフサギコを中心とした円状に並んでいた。
もちろんその中心にいるフサギコは脳汁まみれな訳で。

(;'A`)「とりあえず基地に戻ろうぜ」

ミ,,゚Д゚彡「そうだな」

しかし、脳汁まみれでも顔色一つ変えない精神力はすごいと思う。
フサギコが俺に近寄って来る、少し匂うが一応戦場なので我慢する。
幸い、ブーンの墓には脳汁が飛び散っていなかったので安心した。

周りに生き残っている宇宙人が居ないかを確認してから俺達は基地に向かって歩き始めた。



164 名前:('A`)ドクオが連れ帰るようです:2007/12/26(水) 16:42:24.05 ID:FlnD9Ih90

宇宙人に襲われる事なく無事に基地に到着したのだが。
基地は無事じゃなかった。
基地だったものは瓦礫になっており、俺達の仲間の赤色の血と、宇宙人達の緑色の脳汁。
そして、それらの液体を出した凄まじい数の死体。

('A`)「・・・・・・」

ミ;,,;Д;彡「うわああああああ!!」

超重鈍器を放り出して、仲間達だった物に駆け寄るフサギコ。
しかし、俺は足が凍りついたように動かず、喉を塞がれたかのように声が出なかった。

今までの思い出が頭に蘇って来て悲しみが込み上げてくる。
しかし、フサギコのように泣くことも出来ず、
ただ立ちつくしながら、泣き叫ぶフサギコを見ているだけだった。

ミ;,,;Д;彡「ギコ!目を開けてくれよギコ!」

いくらフサギコの叫んでも、生き返るはずが無い。
弟のギコにあるはずの下半身は存在していなかった。

いつも一緒に居た弟を抱えて天に向かって叫ぶ。
その叫び声は天に届くかと言うほどの大きさだったが、神がその言葉を聞いていても生き返らないだろう。

神など人間が作り出した都合の良い存在に過ぎない。



166 名前:('A`)ドクオが連れ帰るようです:2007/12/26(水) 16:45:08.05 ID:FlnD9Ih90

――――3年3日前

( ^ω^)「ついに完成したお!」

そう言って喜んだのは、白衣を着た少し太った青年。
時刻は深夜2時。
俺に告げたのか、独り言なのかわからないが、部屋の隅には俺が居た。
俺はその時寝ていたので、起こされて不機嫌だった事を覚えている。

(#'A`)「なんだよ」

( ^ω^)「ついに完成したお!」

この太った男。名をブーンと言うのだが、俺と同じような兵士にも関わらず、
本来の研究員より頭が良いと言われていたので、研究室で宇宙人を殲滅させる兵器を発明しろとの任務を受けていた。

俺は頭があまり良くないので詳しくはわからなかったが、人間に無害で宇宙人を殺せる気体が見つかったらしい。
その気体を一気に詰め込み、衝撃を与えて爆発させる。
確か、そんな仕組みだったと思う。



167 名前:('A`)ドクオが連れ帰るようです:2007/12/26(水) 16:48:34.06 ID:FlnD9Ih90

ブーンが発明して手榴弾と同じように使えるように改良を重ねて、
実用化されたのが1年ほど前。
宇宙人の群れに投げ込めばその集団は全滅させれる。
病気のようなもので、感染したが生き残った宇宙人が基地に戻ると、そのまま空気感染で基地ごと破壊できる。

それでも十分だったはずなのに、政府の連中は満足しなかった。
己が死ぬかもしれないから宇宙人を確実に殲滅させたかったんだろうな。ブーンの苦労も知らないで。

( ^ω^)「この鉛筆さえあればなんでも出来るお」

胸に入れている鉛筆をポンと叩いて喜んでいる。あの鉛筆は確か母親の形見と言っていた。
いつもニコニコしている顔をさらにニコニコさせ、両手を挙げて小躍りしている。
十分すぎる結果なのに、政府は認めてくれなかった。

それがとてつもなく悔しかったんだろう。
睡眠時間を良くて3時間程まで削り、他の時間は全て研究に捧げた。
だからこそ、ブーンはこんなにも喜んでいるんだと思う。



168 名前:('A`)ドクオが連れ帰るようです:2007/12/26(水) 16:51:04.59 ID:FlnD9Ih90

('A`)「おめでとさん」

俺が言い終わるとほぼ同時に、警報機が鳴り響いた。
次に基地内に響く言葉は分かっている『宇宙人襲来』だろう。

『宇宙人襲来。直ちに迎撃せよ』

機械的な音声が全ての言葉を言い終わる前に俺は既に武装して駆け出していた。
ブーンを残して。
この時のブーンの表情を見ればこれから起きる出来事を回避できたんじゃないかと思う。

ブーンの発明した、大きな純白の卵のような機械の仕組みをちゃんと聞いていれば、
俺はこれからするブーンの行動を止めたであろう。

たとえ人類が滅亡することになっても。


戦場で俺が宇宙人と戦闘していると、雨が俺の肌に当たった。
辺りに宇宙人も居なくなったようなので、上空を見上げると真っ白な卵が飛んでいた。



169 名前:('A`)ドクオが連れ帰るようです:2007/12/26(水) 16:53:42.00 ID:FlnD9Ih90

その卵はブーンの仕業だと言うことは明白だった。
問題は、今から何をするのかと言うこと。
そんな俺の疑問が聞こえたかのように、卵から機械を通した声が聞こえた。

『今からこの乗り物で宇宙人の基地に突撃してくるお』

『運よく雨が降っているので火はすぐ消えると思うお』

『今日で宇宙人との戦いは終わるんだお。今までお疲れ様だったお』

その声はブーンの声だった。
機械を通したため、声だけでは聞き間違いと判断できるかもしれないが、
何年も聞きなれた声に、最後に『お』をつける特徴的な語尾。

ブーンはあの中に乗っていた。宇宙人を殲滅するために。

('A`)「嘘・・・・・・だろ?」

俺の誰にも聞こえないような呟きは雨にかき消され、
状況を信じられないまま遠くで大きな爆発音が聞こえた。

(;A;)「ブーンを返せよおおおおおおおお!!!!!」

雨か涙かどちらか分からない液体が俺の頬を伝った。
その日から宇宙人は現れなくなった。



170 名前:('A`)ドクオが連れ帰るようです:2007/12/26(水) 16:56:39.50 ID:FlnD9Ih90

ミ#,,;Д;彡「よくも・・・よくもギコを・・・」

フサギコの怒りの声で俺は現実へと引き戻された。
見ればフサギコはギコの死体を置き、俺の後ろを見続けている。
顔は泣きながらも怒りの形相、超重鈍器を握り締めている手からは血が滴り落ちている。
その原因である奴らに向けて怒りの言葉を呟き続けている。
振り向いてみれば、凄まじい数の火星人体系の宇宙人。

('A`)「・・・・・・」

偶然なのだろうが、今俺達が居る場所は俺の部屋の近くである。
さすがに弾の入っていない銃剣だけであれだけの数を相手にするのは無理なので、
地面に落ちていた俺の刀を拾うことにした。

空にはいつの間にか月が出ていた。

フサギコとともに駆け出す。
手には抜刀した刀。目の前には無数の宇宙人。
勝てるとも思っては無いが、負ける気は無い。

目標は敵の殲滅のみ。



171 名前:('A`)ドクオが連れ帰るようです:2007/12/26(水) 17:01:40.94 ID:FlnD9Ih90

目の前に三体の宇宙人。頭を横一閃。
緑色の液体が宙に舞う。

隣でフサギコがブーンが開発した手榴弾を宇宙人の群れに投げつけた。
フサギコは知らないのかもしれない。相手は既にその弱点を克服している事を。
こんな事できるのはあいつしか居ない。

俺はやはりあいつに会わなければいけない。

3年前には相手側に存在しなかった武器で左腕を打ち抜かれた。
銃剣だ。これもあいつの仕業だろう。

周りに居た宇宙人を弾除けにしながら走る。
幸い、あまり銃剣は無いらしく、一発しか被弾しなかった。
フサギコも俺と同じようにしているだろう。
周りに気を掛けるほどの余裕は無い。

大嫌いな緑色の液体のシャワーを浴びたかの様になった頃には、
フサギコが周りに居なかった。
死んだか逃げたかのどちらかである。恐らく前者だろう。

また一人仲間が死んだ。



175 名前:('A`)ドクオが連れ帰るようです:2007/12/26(水) 17:04:23.58 ID:FlnD9Ih90

怒りに身を任せ、刀を振っていると、辺りに宇宙人達は居なくなっていた。
あれだけの数を殲滅させたせいで、かなり疲れてはいたが、外傷はあまりなかった。
強いてあげるとすれば左腕ぐらいのものか。

気を抜いていたせいで気付けなかった。
後ろに生命体が存在していた事を。

腹を銃で打ち抜かれ風穴が開いた。そこから血が吹き出る。
痛みに耐え切れず、地面に倒れこむと何者かの声が聞こえた。

【+  】ゞ゚)「3年間も、俺を恨み続けたか」

その声は聞き覚えのある声だった。
間違えるはずの無い声。
真っ白な卵から聞こえてきた声。
胸に入っている鉛筆。
特徴的な語尾は無いが間違いない。

('A`)「恨んでなんかいない・・・俺はただ親友の笑顔を取り返したいだけだ!」

立ち上がって言ってやろうと思ったが、うまく立ち上がれず、
刀を支えにして立つのがやっとだった。




('A`)「一緒に帰るぞ!ブーン!」




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