658 名前:お題『クリスマス・イブ』&『兄弟仲よく』:2007/12/24(月) 22:04:11.21 ID:R25sWc43O

 (´<_` )「なぁ、兄者」


 コタツに入りながらブラクラをゲットしていると、寝室から起き抜けのパジャマルックで出て来た弟者が話し掛けてきた。

 当然、俺は無視をする。

 弟者は残念そうに息を吐くと、もう一度、寝室へと引っ込んだようだった。

 あまりの馬鹿馬鹿しさ、自分の幼稚さに嫌気が差したものの、ここで自分が折れるのも、癪だった。



662 名前:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:06:23.22 ID:R25sWc43O

『( ´_ゝ`)と(´<_` )のクリスマスのようです』



 ( ´_ゝ`)「バーカバーカ」


 それはいったい誰に宛てたものか、俺もわからなかったけれど、とにかく居心地の悪さが一層増したような気がした。

 俺と弟者との喧嘩は今日で三日目に入る。本当は喧嘩ですらなく、一方的に俺がごねているだけだ。
 中学生にもなってバカみたいだ、とは思う。弟者は悪くないのに、と思う。けれどやっぱり俺はだだっ子みたいに在ることしかできなかった。

 事の始まりは終業式の後、成績表も渡り、母者の恐怖に怯えながら下校するのみとなった時にさかのぼる。

 ζ(゚ー゚*ζ「流石くん、ちょっといいかな……?」

 担任の手伝いを命じられたらしい弟者を待って昇降口で鼻くそをほじっていたら、大変可愛らしい少女に話し掛けられた。



666 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:08:34.24 ID:R25sWc43O

 (;* ´_ゝ`)「で、デレちゃん!?」


 クラスのマドンナ、デレちゃんから話し掛けられた。鼻に突っ込んだ指を元に戻す過程で鼻血が噴出する。
 しかし全く気にならない。初恋の少女を前にして、舞い上がった俺は、鼻血を垂らしながらすっとんきょうな声をあげた。


 ζ(゚ー゚;ζ「アレ?兄者くん?……ご、ゴメン。弟者くんと間違っちゃった」


 一気にテンションが落ちると同時に疑問が一つ。


 ( ;*´_ゝ`)「弟者に何か用?」

 ζ(゚ー゚;ζ「い、いや用って程でも……」


 歯切れが悪い。
 クラスのマドンナがうちの弟者に何の用だ……?


 (´<_` )「おーい兄者!!」

 ζ(゚ー゚*ζ「あっ、流石くん!!」

 (´<_`; )「で、デレちゃん……」

 デレちゃんの声音が変わったような気がした。



668 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:10:24.12 ID:R25sWc43O

 弟は俺と違って男前だ。
 俺みたいにバカでもないし、お調子者でもない。頭もいい。

 成る程そういうことか。

 俺は踵を返す。

 何故だか酷く寒さが身にしみた。


 再びブラクラゲット。
 流石だな、と呟くも相槌を打ってくれる弟は隣に居なかった。

 その弟はどこかに出掛けたようで見当たらなかった。

 今日はクリスマスイブだ。
 大方、デレちゃんと楽しんでいるんだろう。
 ブラクラ踏んでも気分は晴れない。


 結局、弟者が返ってきたのは日も沈んだ頃のことだった。
 今日は父者と母者は夫婦水入らずで外出。妹者は友人の家である。
 気まずいと感じながらも俺はキーボードを打ち続ける。



672 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:12:32.13 ID:R25sWc43O

 (´<_` )「兄者、夕御飯どうする?」


 弟の問いかけを無視する。
 心が痛んだが気にしないようにする。

 弟者は無言で顔を引っ込め、台所に向かったようだった。包丁がまな板に触れる、軽快な音がした。

 なんと惨めなクリスマスだろう。
 いつしか涙腺は決壊し、涙が出ていた。
 いつもだったら軽口を他叩き合いながら一緒に料理を作っているはずなのに。

 涙は止まらない。


 (´<_`; )「あ、兄者!?」

 ( ;´_ゝ`)「お、弟者!?」


 いつの間にか弟者が襖の向こうにいた。慌てて涙を拭うが、弟者はおろおろしながら、「大丈夫か?」と語り掛けてきた。
 弟者の手には二人分のチキンライスとショートケーキ。



674 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:16:37.48 ID:R25sWc43O

 ( ;´_ゝ`)「お、弟者……」

 (´<_`; )「スマン、兄者」


 いきなり弟者が頭を下げる。
 俺は目を白黒させながら弟者の頭を上げさせる。
 弟者がデレちゃんとはそんなんじゃない、というのを、わかったから、と黙らせる。


 (´<_` )「誤解を招いてしまったのは俺の責任だ」

 ( ´_ゝ`)「い、いや。弟者に嫉妬して駄々こねたのは俺だ」

 (´<_` )「だが、デレちゃんは兄者の……」

 ( ´_ゝ`)b「いいんだ。俺は、デレちゃんより重要な存在を見つけたからな」

 (´<_`* )「兄者……」

 ( *´_ゝ`)「弟者……」

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     〇
    ο
   ゜
 l从*・∀・ノ!リ「なんてクリスマスプレゼントがいいのじゃー!!」

 ( ゚_ゝ゚)「…………」(゚<_゚ )



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