- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/10/13(月) 00:13:17.66 ID:ObMmm1UA0
- 僕がこの姿に変わってしまってから、一週間が過ぎた。
最初はどうなる事やらと思っていたけれど、何だかんだ言いつつもこの姿に慣れてきた自分がいる。
周りの人達も、最初に比べて騒ぐ事も少なくなってきたし、穏やかな生活が戻って来たようだ。
――この腹痛を除けば。
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/10/13(月) 00:14:55.83 ID:ObMmm1UA0
- (;´・ω・`)「うう……お腹痛い……」
( ;^ω^)「大丈夫かお? 登校中も顔色が悪かったお」
朝起きてから、何となく体がだるいとは感じていた。それに加えて、軽い頭痛や鈍い腹痛。
恐らく、この姿での生活が落ち着いて来て、気が抜けたから疲れがどっと押し寄せて来たのだろう。
もともと体が丈夫な方では無かったし、これも休めばすぐに治ると思う。
幸い、今日の授業は全て教室で行われるし、椅子に座ってじっとしていれば幾分か楽だった。
倦怠感に耐えながら、午前中の授業を終え、今は昼休みだ。
机をくっ付けて弁当を広げる、いつもの三人。……でも、食欲が湧かないなあ。
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/10/13(月) 00:17:17.83 ID:ObMmm1UA0
- ('A`)「まあ疲れが溜まってるんだろう。この一週間で色々あり過ぎたし」
(;´・ω・`)「僕もそう思うよ……、実際疲れてるし……」
( ;^ω^)「顔が青白いお……。保健室で休まなくていのかお?」
流石に保健室で休むほどでは無いと思う。とは言っても、実際はベッドで休んでいたいのが本音だ。
だけど、近い内に定期テストが控えているので、出来るだけ授業には参加した方がいいだろう。
まあ、今日は家でゆっくり休めば明日には回復してる事と思うから、午後の授業にも参加する事にした。
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/10/13(月) 00:19:24.70 ID:ObMmm1UA0
- 一向に進まない僕の箸を見て、ブーンが心配そうな声を掛けてくれる。
母が「可愛いお弁当作ってあげるわね」なんて言いながら作ってくれた、色取り鮮やかな弁当箱の中身も、今は食欲をそそられない。
食べた方がいい事は分かっているのだけど、少し吐き気もするし、今日は食べられそうに無かった。
手を付けずに持ち帰るのは母に悪いと思ったので、二人に食べてもらう事にする。
( ^ω^)「じゃあ頂くお」
(;'A`)「お前一人で食うなよ?」
ドクオの忠告空しく、中身は全てブーンの胃袋に収められる事となった。
どうやら母の手料理は世間一般に見て美味しいらしい。僕もそう思うけど。
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/10/13(月) 00:21:44.15 ID:ObMmm1UA0
- 午後の授業が始まっても、体の不調は治まる様子を見せなかった。
いや、それどころか少しずつ悪化しているような気がする。
頭は金槌で打たれているかのようにガンガンするし、鉛が入っているかのように鈍く痛むお腹。
耐えられずに、上体を倒して休む事にした。生徒に甘い教師が担当の授業で良かった……。
突っ伏したまま横を見てみると、相変わらず夢の世界へ旅立っているブーン。
この調子だと、今回もテスト前には三人で勉強する事になるんだろうな。主にブーンに教えるために。
ブーンの寝顔を眺めながら苦痛に耐えて、授業時間を過ごす。時間が経つにつれて、どんどん酷くなっていく苦痛。
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/10/13(月) 00:23:22.03 ID:ObMmm1UA0
- ボーっとしている内に授業終了を知らせるチャイムが鳴り、起立して礼をする。
今の状態では、少し動くだけでも頭がガンガンした。うう、痛い……。
今日の授業は後一つ。少しフラフラするけれど、それさえ乗り切れば家に帰って休める。
( ;^ω^)「ショボン、青白いを通り越して顔が真っ白だお……本当に大丈夫かお?」
(;'A`)「なんか足元がフラフラしてるが……」
(;´・ω・`)「う……ん、大丈夫……だよ……たぶん」
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/10/13(月) 00:25:18.30 ID:ObMmm1UA0
- そう言ったものの、正直な話、こうして立って話しているだけで辛い。
少しだけ意識が朦朧としてきた。これは不味いかもしれないなあ……。
その内体に力が入らなくなって、糸が切れたマリオネットのように床にへたり込んで。
そして、頬に感じる冷たくて硬い感触。騒がしくなるクラスメイトの声。――そこで僕の意識は一旦途切れた。
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/10/13(月) 00:28:09.09 ID:ObMmm1UA0
- ――白い天井に、白いシーツ、白いカーテンで仕切られた空間。
気が付いたら、僕は保健室のベッドに寝かされていた。
(´・ω・`)「あ……倒れちゃったんだっけ……」
教室で倒れてしまった事を思い出した。誰が保健室まで運んでくれたのだろうか。
そう思ったところで、カーテンがシャッと音を立てて少し引かれた。
('、`*川「目は覚めた?」
にゅっと顔を出して僕に尋ねるのは、保健室担当のペニサス先生。
(´・ω・`)「はい。まだ少し気分が優れないですけど」
('、`*川「まあ、顔色も少し良くなったし大丈夫みたいね」
(´・ω・`)「ありがとうございました」
('、`*川「礼を言うならそっちの男の子にしなさい」
と言って、カーテンを全開にする。
保健室のソファーに、安心したような表情を浮かべているブーンが座っていた。
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/10/13(月) 00:31:29.12 ID:ObMmm1UA0
- ('、`*川「彼がおんぶして運んできてくれたのよ」
( ;^ω^)「もう大丈夫なのかお?」
(;´・ω・`)「あ、うん。まだ少し気分が優れないけど」
( ^ω^)「もう授業も終わったから、ブーンが送っていくお」
壁に掛かっている時計に目をやると、とっくに放課後に突入していた。
そういえば、ドクオはどうしたのだろう。その事をブーンに聞いてみる。
( ^ω^)「ドクオなら、付き添いで保健室に来た後、教室に戻ったお。用があるから先に帰るらしいお」
そうなのか、と思ったところである事に気付く。
ドクオはすぐに教室に戻ったという事は、それはつまり、ブーンはずっとここにいてくれた?
嬉しいけれど、迷惑かけちゃったな……。
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/10/13(月) 00:34:28.71 ID:ObMmm1UA0
- ('、`*川「邪魔しちゃって悪いけど、一応職務を果たさないといけないのよね」
ペニサス先生がそう話し掛けてくる。
('、`*川「簡単に症状だけ教えてちょうだい」
そう言われたので、朝からの体の調子を適当に話す。
それを何かの用紙にサラサラと書き写し、僕の額に手を当てて来た。
('、`*川「熱は無いみたいね、風邪じゃないとすると……」
そう言って顎に手をやり考え込むような仕草を見せる。
数秒経った後、ポンと手を叩いて僕の耳元で囁いた。
('、`*川「ちょっとパンツの中を見てみなさい」
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/10/13(月) 00:37:00.57 ID:ObMmm1UA0
- (;´・ω・`)「はいっ!?」
予想外の言葉に素っ頓狂な声を上げてしまった。
よく分からないままベッドに連れて行かれ、カーテンを閉められる。
何だか分からないけれど、取りあえずパンツを下げて中を見てみた。
(;´・ω・`)「…………赤い?」
点々と付いている、赤い染み。……血便?
気付かない内に漏れてしまったのだろうか?というかこれって危ない病気?
ただの疲れから恐ろしい病気に……なんてシャレにならない。
色々と恐ろしい考えを浮かべていると、ペニサス先生の声が。
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/10/13(月) 00:39:36.18 ID:ObMmm1UA0
- ('、`*川「入っても大丈夫?」
(;´・ω・`)「あ、はい」
中に入り、カーテンを閉めて僕に聞いてくる。
('、`*川「で、何かあった?」
(;´・ω・`)「あの……赤い染みが……」
('、`*川「やっぱりねえ……」
(;´・ω・`)「何か分かるんですか?」
('、`*川「たぶん生理。あなたの場合は症状が重いみたいね。量は少ないみたいだけど」
(;´・ω・`)「……せい、り?」
('、`*川「あなた、女の子になったっていうモナー先生のクラスの子でしょ?
きちんと生理もくるようになってるのねえ……、先生実に興味深いわ」
(;´・ω・`)「は、えーと、あの……」
('、`*川「ああ、ごめんなさい。話が逸れちゃったわ。その様子だと今日が初めてみたいね。
保健とかで習ったはずだから、生理は分かるわよね?」
(´・ω・`)「一応は」
('、`*川「まあそういう事よ」
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/10/13(月) 00:42:17.53 ID:ObMmm1UA0
- どういう事なのかよく分からないけれど、とりあえず病気では無いと分かってホッとした。
先生は僕に色々なアドバイスをし、カーテンを開けて机に戻った。
ソファーには心配そうな表情を浮かべたブーン。異常は無い事を伝えると、胸を撫で下ろした。
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/10/13(月) 00:44:29.62 ID:ObMmm1UA0
- そして現在、ブーンと二人きりの帰り道。
いつも三人で帰っているので、二人きりの下校と言うのは少し新鮮な気分だった。
夕陽が造る二人の影。その形ははっきりと違っていて。
ブーンが僕の方をちらちらと向いている事に気が付いたのは、数分ほど歩いた頃だった。
恐らく、まだ少しだけ足元が危うい僕を心配してくれているのだろう。
……そうだ、少しだけこの状況を利用させてもらおう。
(;´・ω・`)「あっ……」
何かに躓いた風に、体勢を崩してみる。
( ;^ω^)「大丈夫かおっ」
咄嗟にブーンが僕の体を支えてくれた。
前に傾いている僕の体を、ブーンは正面から受け止めている。
傍から見れば、僕がブーンに抱きついているような姿勢。
ブーンの温もり、匂い、感触。それらを感じながら、少しだけ待ってみる。
数秒ほど経って、僕は体勢を直してブーンに感謝の言葉を述べる。
ブーンは僕がわざと体勢を崩した事には気が付いていないようだった。
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/10/13(月) 00:47:24.80 ID:ObMmm1UA0
- ……まあ、たまにはいいよね、こういう事をしたって。
そんな言い訳じみた台詞を心の中で呟く。
それに対する返答は、カラスの鳴き声だけだった。
そうして僕は帰宅する。
余談だが、その日の夕飯は、急遽赤飯に変更された。
第八話 おわり
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