- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/20(土) 22:26:12.89 ID:1utaKVnA0
- 揺れる胸、弾ける汗、舞い上がる砂埃。風を受けて靡く髪が、少しだけ邪魔だ。
( *・∀・)「………………」
ミ,,*゚Д゚彡「………………」
( *゚∀゚)「………………」
――僕は今、体育の授業中だった。
(;´・ω・`)「そんなに見ないでよ……」
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/20(土) 22:27:52.98 ID:1utaKVnA0
- この前の取り決めで、取りあえずは男子と一緒に体育の授業を受けている僕。
身体能力などは、元の体と比べて劣ってしまっているが、ついていけない事は無いようだ。
しかし困ったのが、この目線。よりによって今日はマラソンだった。
小ぶりながら主張を忘れない胸に、男子のほとんどが食い付く。
やっぱり女子の方に行こうかな……。休憩時間にそんな事を漏らしたら、ブーイングが飛んできた。
しかもそのブーイング軍団の筆頭に立っているのはドクオ。ねえ、何やってるの?
ブーンはと言うと……日陰でへばっていた。短距離は得意なのだが、持久力が無いようだ。
(*'A`)「体育中のお前のおっぱいは、さながら砂漠のオアシスだ!」
とかドクオはよく分からない事をのたまっている。なんだか周りの男子も同意してるし……。
( *゚∀゚)o彡゜「おっぱい! おっぱい!」
ミ,,*゚Д゚彡「みなぎってきたwwwwwwwwww」
( *・∀・)「揺れがたまんねえwwwwwwwww」
(;´・ω・`)「………………」
尋常では無い熱気が少し怖い。
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/20(土) 22:30:08.76 ID:1utaKVnA0
- ( ゚∋゚)「休憩終わりだー、次1500m行くぞー!」
休憩時間も終わりのようだ。不平を漏らしながらも、急いでトラックのスタートラインに並ぶ僕達。
グラウンドに火薬音が鳴り響き、スタートの合図を知らせ、一斉に駆け出す。
身体能力が劣っている僕は、必然的に最後尾の方を走る事になるが、ある意味嬉しかった。
ブーンと並んで走る事が出来るから。
( ;^ω^)「はあ……はあ……みんな早いおー……」
(;´・ω・`)「僕達は自分のペースで行こ?」
( ;^ω^)「そうだおね」
先ほどの運動で、既に体力が限界のようなブーン。僕も慣れない体での運動で、体力を消耗していた。
大きなお腹を揺らしながら走るブーン。一生懸命な姿も可愛いよお、なんて惚気てる場合じゃなかった。体力的に正直キツイ。
次第にペースダウンしていき、最終的に歩いた方が早いのではないだろうかと思うほどのスピードで走る。
ふとブーンの方を見ると、ブーンがこちらを向いてた事に気が付いた。
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/20(土) 22:32:04.66 ID:1utaKVnA0
- (;´・ω・`)「はあはあ……どうしたの、ブーン?」
( *^ω^)「……なっなんでもないお! 周回遅れにならないように急ぐお!」
(;´・ω・`)「あっ、待ってよー」
何だったんだろうか?考えつつ、ブーンを追いかける。
ブーンの顔が赤かったのは、運動していたせいだろうか?それとも他に何か理由が?
……僕の事を見ていたから?
(;´・ω・`)「……それなら嬉しいんだけど」
( ;^ω^)「おっ? 何か言ったかお?」
(;´・ω・`)「何も」
( ;^ω^)「ラストだし頑張るおー!」
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/20(土) 22:34:07.14 ID:1utaKVnA0
- ――結局、よく分からないままで体育の授業は終わり、あっという間に昼休みになった。
そして現在、三人で弁当を広げている。
( ^ω^)「そう言えば、明日の買い物はどこに行くんだお?」
と、特大サイズの弁当を手に持ちながら聞いてくるブーン。
(´・ω・`)「今のところは郊外にあるショッピングモールに行く予定だけど」
('A`)「あそこなら大抵の物は揃うだろうしな」
( ^ω^)「それもそうだお。ところで、ブーンとドクオだけでいいのかお? ブーンは女の子の服の事はよく分からないお」
(´・ω・`)「ああ、それなら大丈夫だよ。姉さんから雑誌を借りたからね」
('A`)「えー……せっかく俺好みに着せ替えようと思ったのに……」
( ;^ω^)「ドクオが選ぶとロクな事にならないお。ショボン、ブーンと一緒に選ぶお」
(´・ω・`)「そうだね、デート気分で楽しもうか」
あ、つい口が滑ってしまった。……変な風に受け取られていないだろうか?
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/20(土) 22:36:18.37 ID:1utaKVnA0
- ( ^ω^)「おっおっおっ、帰りに二人で映画でも見ていくかお?」
('A`)「俺はいない者として扱うんですね、そうなんですね」
どうやら大丈夫なようだった。内心ホッとしながら、平常心を装う。
ドクオの方を見ると、少しニヤニヤしながらこちらを見ていた。うう……口が滑ったとは言え不覚だ。
でも、明日はブーンとデート。どんな服を着ていこうかな、と言っても姉から借りるわけだけど。
ブーンはどんな系統の服が好みなのかな?
可愛らしい服、カッコいい服。雑誌を見ると色んな雰囲気の服装があったけど。
明日はそういう事もいっぱい聞いてみよう。
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/20(土) 22:37:59.71 ID:1utaKVnA0
- 放課後、いつものように三人で帰り、帰宅する。
玄関に脱ぎ捨てられている姉のスニーカー。ちょうどいい、買い物に着ていく服を借りる事にしよう。
階段を上り、姉の部屋のドアをノックする。なんだー?、と姉の声。部屋へ入って言う。
(´・ω・`)「明日買い物に行くから、服貸してー」
从 ゚∀从「ああ、デートか」
(;´・ω・`)「なんでそうなるのさ」
从 ゚∀从「冗談さ冗談。で、どんな服がいいんだ?」
今の僕には冗談に聞こえないので、そんな発言は止めて欲しい。姉に言っても無駄な事だが。
どんな服と言われても、正直分からない。取りあえずこの前雑誌に載っていた服装を見せてみる。
へー、こんなのが好みなのか、とニヤニヤしながら言われた。
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/20(土) 22:39:51.69 ID:1utaKVnA0
- 从 ゚∀从「まあ似た系統の服は持ってるから貸してやるよ」
と言い、クローゼットの中を漁り始める。しばらくして出て来た、洋服一式。
ジップ部分にレースの装飾が施されている、白いパーカー。白黒ボーダーのタンクトップ。
黒のバルーンスカートに、薄い紫のニーソックス。キャスケットとアクセサリー、パンプスも貸してくれた。
礼を言い、さっそく着替えてみる事にする。
从 ゚∀从「………………」
着替え終わった僕を見て、無言のまま動かない姉。どうしたのだろう。
もしかして似合ってないのかな……?
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/20(土) 22:41:23.51 ID:1utaKVnA0
- (;´・ω・`)「あの……姉さん?」
从 ゚∀从「むかつく」
(;´・ω・`)「へっ?」
从#゚∀从「不自然なほど似合っててムカつく」
(;´・ω・`)「姉さんが男っぽすg」
殴られた。
(;´・ω・`)「親父にも殴られt」
二度も殴られた。
从 ゚∀从「コントはこれまでだ。鏡見てみろ」
と言われ、鏡に映っている僕の姿を見てみる。うわあ……確かに不自然なほど違和感が無い。
まさかこの中身が男だなんて思う人は、一人としていないだろう。自分でも、自分の姿をみて別人のように思えるし。
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/20(土) 22:43:06.34 ID:1utaKVnA0
- その後、僕は姉の着せ替え人形と化した。クローゼットに合った服を手当たり次第着させられ、化粧をさせられ、髪型を変えられ。
マスカラが目に入ったり、ヘアアイロンで火傷しそうになったりとアクシデントは有ったけれど、姉が楽しそうだったので我慢した。
そう言えば、昔もこんな事をされていたような気がする。僕が小学校に入る前くらいまでか。
もしかしたら姉は、妹が欲しかったのかも知れないな、なんて事を思いながら、僕は化粧を落としているのであった。
その日の夜、僕はよく寝付けなかった。それが緊張のせいか、楽しみのせいかは分からなかったけれど。
ブーンの事を考えながら目を瞑っているうちに、僕はいつの間にか眠りに就いていた。
六話 おわり
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