- 4 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/18(火) 02:40:39.09 ID:TQWyGxLV0
- 師走、というのは暮れの忙しさを表した言葉である。
その名の通り、目が回るように忙しかった。
先の見えない勉強の山。
朝起きて勉強。
学校で勉強。
帰ってきてから勉強。
その合間にあるハミガキでさえ息抜きに感じられる。
それでも自分以外の目が入ると机に向かっていた。
もはや反射だ。
なにに強制されて、俺は机に向かっているのだろうか?
目が離れたときに襲ってくるゲシュタルト崩壊。
気づけば後期中間まで一週間を切っている。
- 6 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/18(火) 02:45:03.88 ID:TQWyGxLV0
- 学校での周りの評価は案外大したことなかった。
授業中、足元に消しゴムが転がってきたときのこと。
視線を上げると、こっちを見ながらジェスチャーでスマンと手を合わせるクラスメイトがいる。
拾ってあげると、
『サンキュー』
と小声でお礼を言われた。
しばし呆然。
これが高校生というものか。
……大人だ。
- 8 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/18(火) 02:52:28.58 ID:TQWyGxLV0
- 学校でのお昼はみんなと別で取っている。
図書室最高!……高らかに声を上げたい。
説明するとこの私立、図書スペースとテーブルスペースが広く開けている。
おしゃれで静かなカフェテリアを連想させる造りなのだ。
騒ぐのは厳禁だが、飲食も許可されている。
……嬉しいけど、今更ながらに思う。学校なのか、ここ。
しかもVIP高には、ほかにも生徒憩いの場がポツポツあり、
騒げない図書室は倦厭されがちだという。
……たまらないです。
- 9 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/18(火) 03:06:12.25 ID:8Oh9KO9N0
- 学校の廊下でのこと。
告白した。告白された。
フった。フラれた。
……そんなこと、全部この小さい建物の中で起こったのだ。
そして、決してそれっきりになんかならない。
同じ場所に毎日通えば、いつかは顔を合わせる。
絶対だ。
……。
視線が合っても、お互いに交わす言葉などない。
後悔はなくても。
ボディブローをもらったように苦しくなる。
それでも喧騒が、始業のベルが。
呆然と立ち尽くすことを許さない。
ある、雪の日のことだった。
- 10 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/18(火) 03:16:10.77 ID:8Oh9KO9N0
-
川 ゚ -゚)「……さて、明日からスタートだな」
ミ∀・ シ「いきなり倫理哲学ですけど、なんにもやってないですよね」
川 ゚ -゚)「この教師の倫理は記号選択が多いからな。拾える教科のひとつだから安心しなさい」
川 ゚ -゚)「それに社会系は、求められている答えに敏感なら、感覚で解ける部分が多い」
ミ∀・ シ「求められている答え?」
川 ゚ -゚)「ためしに過去テスをやってみよう。本番と同じように時間を計ってな」
川 ゚ -゚)「よーい、スタート」
- 11 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/18(火) 03:26:03.28 ID:QUUw4NOn0
-
ミ∀- ;シ「……あの、もう解けないので終了でいいです」
川 ゚ -゚)「なら採点してみようか」
川 ゚ -゚)「……ふむ、38点だな」
ミ∀・ シ「なんにもしてないけど赤点回避できましたね」
ミ∀- ;シ「あてずっぽもおおかったですけど」
川 ゚ -゚)「そうだな。いきなり赤回避しているが、これは運だろう」
川 ゚ -゚)「しかしまったく歯が立たなかったわけではないんじゃないか?
こことかは、どうして正解できたか自分で説明できるか?」
ミ∀・ シ「文脈から消去法で。ア、イ、ウ、エ、からの選択ですし」
川 ゚ -゚)「うむ。いい解き方だ」
川 ゚ -゚)「それにできるだけ空欄を潰しているのもいいな」
ミ∀・ シ「社会系は手をつけてないですけど、テストの解き方、は仕込まれてますから」
- 14 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/18(火) 03:32:17.89 ID:lidmyEx90
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川 ゚ -゚)「モララー君はテンポ良く学んでくれるからこっちとしても助かるな」
ミ∀・*シ「あ、その、どうも……」
川 ゚ -゚)「さて次はテストに出そうな用語を覚えに行くが」
川 ゚ -゚)「哲学は歴史だ。そして歴史は一本のお話しである。
だから重要語句や重要人物が、どんな背景で『重要』になったのかという『流れ』を押さえる」
ミ∀・ シ「流れ……」
川 ゚ -゚)「そうだ。無駄な発言は歴史に残らない。
そのときどきによって『重要』だったから歴史に残るのだ」
川 ゚ -゚)「君は本を読むのは好きか?」
ミ∀・ シ「好きな方です」
川 ゚ -゚)「ならばやはり、暗記よりも流れだな」
ミ∀・ シ「よろしくお願いします」
- 16 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/18(火) 03:40:24.13 ID:t06TaJRe0
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('、`*川「……さむ」
('、`*川「……ああぁおきたくらいぃぃぃ〜……」
('、`*川「あれ?クーはまだモラちゃんの部屋なの?」
('、`*川「……」
('、`*川「女子大生と寝ずにレッスンとか……」
('、`*川(あの二人だし、別にへんな期待してるわけじゃないけど……)
('、`*川(……一応携帯じゃなくてデジカメ持ってくか……)
- 19 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/18(火) 03:55:45.49 ID:NznymFHm0
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川 ゚ -゚)「うむ、哲学はアベレージ50まで来たな」
川 ゚ -゚)「古文の確認を挟んだら、私が作ってきた模擬テストをやって終わろう。
日も昇っているし、時間的にも終わった頃で朝ごはんだ」
川 ゚ -゚)「ところで本当に眠らなかったな。大丈夫か?」
ミ∀・ シ「前に言われた通り、昼間寝ておきましたから」
川 ゚ -゚)「これからは、学校から帰ってきたら寝る→最後の詰めをする→登校、にするつもりだ。
それでも眠くなったりは天敵だから、睡魔が襲ってきたらシャーペンを腿に刺すといい」
ミ∀・ ;シ「……過激じゃないですか?」
川 ゚ -゚)「姉さんに教わった睡魔撃退法だ。カフェインより効果があ―――……?」
川 ゚ -゚)「ペニサスか?」
ミ ・∀)「ペニサスさん? おはようございます。早いですね」
('、`*川「……わかってたけどさ、せめてこう、『桃色なのかっ!?』って疑えるような、さ……」 ブツブツ
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