- 123 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/03(月) 00:45:29.39 ID:47RwbVpR0
- そうして、卒業式になった。
不思議な気持ちだった。
目に映る人。
すべてが。
眼中にない。
ここまで大勢の人間を、居ても居なくてもどうでもいいと思えたことはない。
俺が卒業式にきたことに。
周りはざわついていたのだろうか?
まるで気にならなかったから記憶も曖昧だ。
……あいつを除いては。
- 124 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/03(月) 00:47:57.14 ID:47RwbVpR0
- 川∀・;ミ「あの……」
(;^o^)「……モララー」
川∀・;ミ「えっとね? 俺もオワタくんも部活してなかったよね?」
川∀・;ミ「……だからさ、一緒に帰らない……ですか?」
( ^o^)「……」
- 126 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/03(月) 00:51:24.49 ID:47RwbVpR0
- 川ミ・∀ミ「本当によかった? お父さんお母さんが来てたんじゃないの?」
( ^o^)「来たら俺が式に出ないって言った」
川ミ・∀ミ「……そっか」
( ^o^)「モララーこそ、ギコたちと一緒じゃなくていいのかよ」
川ミ-∀ミ「ギコはねー、今追いはぎにあってるから放置」
(^o^)「なるほどw」
- 127 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/03(月) 00:55:07.44 ID:47RwbVpR0
-
川ミ・∀ミ「……オワタノート」
( ^o^)「……」
川ミ・∀ミ「覚えてる?」
( ^o^)「……忘れない」
( ^o^)「……これから先どんなに幸せになっても」
( ^o^)「……絶対に忘れない」
( ^o^)「……絶対に」
川ミ・∀ミ「……」
川ミ-∀ミ「……オワタノートにはね……オワタくんが知らない続きがあるんだよ」
- 129 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/03(月) 00:59:09.63 ID:47RwbVpR0
- (^o^ )「続き?」
川∀・ミ「今は俺が持っているんだ。ほら」
川∀・ミ「先生からこっそり聞いたんだ。オワタくんが卒業式にくる、って。
だから持ってきた」
(^o^ )「……懐かしい」
川∀・ミ「見てほしい。……辛いかもしれないけど」
(^o^ )「……大丈夫」
- 133 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/03(月) 01:08:09.93 ID:oe/4zc9Y0
- 表紙はボロボロで、ジュースがこぼれたようだった。
『3班が体育館掃除のときはランプの精がモップを新しいものに替えておいてくれる』
『今日の英語の授業中は誰かが積極的に手を挙げる』
『体育のバスケでダンクを決めるw できなかったら体育の次の授業は体育着のままw』
……。
……めくる。
……ページをめくる。
……。
そしてあのページまできた。
『やる美先生のジャージを盗んで職員室前の掲示板に貼り付ける』
……あの日。
あの時出くわしたのがモララーじゃなかったら。
俺の不登校の理由は曲解されていたに違いない。
そうして……俺は……。
……ん?
『お前らこんなことして楽しいのか!? アァ!?』
めくったページには、1ページまるごとその言葉で埋まっていた。
- 134 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/03(月) 01:09:45.96 ID:oe/4zc9Y0
- (^o^;)「……これ」
川∀・ミ「まだページあるよ?」
(;^o^)「……」 ペラッ
- 137 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/03(月) 01:18:16.84 ID:AtuJYwOe0
- 次のページは、今までのページと同じように別々の筆跡が並んでいた。
『A組でこんなことが行われていたなんて信じられません。
ここまで複数の人たちの文章であれば、A組全員の評価を下げざるを得ません。
A組は全員、内申がないものと思ってください』
『オワタをいじめていた奴……と聞いても名乗り出る者はいないだろう。
そんなことしても受験がどうこう言い出すのが目に見えている。
A組全員人としてクズだ。恥を知りなさい』
『職員室でも話題になっています。これは教育委員会にも報告することが決まりました。
こんな悪魔のようなノートを作ったあなたたちのことは、
それぞれの進学するであろう高校にもきちんと報告しておきます』
……。
……なんだ……これ。
手が震える。
どういうこと?
わからない。
そしてその文章は、学年の先生たちをはじめとして。
学校中の先生が書いたのではないかというほど連なっていた。
- 138 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/03(月) 01:20:40.68 ID:AtuJYwOe0
-
(^o^;)「……な……んで?」
川∀-ミ「悪いことはお日様が見逃すわけないよ」
川∀・ミ「なーんちゃって♪」
(^o^;) !?
- 142 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/03(月) 01:33:00.38 ID:IaRzlUwt0
- 川∀・ミ「それ書いたの全部俺でしたー♪」
(^o^;)「……は!?」
川∀・ミ「先生たちの筆跡を真似るのに一週間かかちゃったよ。量が多かったのもあるけどね。
ギコのは俺の自信作……ていうかサンプルいっぱいあったから書きやすかったよー。
いや、ギコ本人に書いて、って言えば一番早かったかな?」
ミ∀-;ミ川「でもとりかかった時は一晩でやってやろうと思ってたんだけどね……。
だってオワタくんがもしちゃんと登校してきたら、
ノートを隠したという冤罪を俺が仕組んだみたいになっちゃうし……」
川∀^ミ「ま、そこのところは結果オーライということで♪」
(^o^;)「……あ、あぁ……」(笑った顔キモいな……)
川ミ・∀ミ「それに一週間後に先生たちのコメントが書かれたノートが学級文庫にそっと戻されるんだよ?
それがなんかリアリティが上がったみたい。
あの日の教室はもうね……」
川∀−ミ「見せてあげたかったなぁー」
「……」(^o^ )
- 143 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/03(月) 01:35:03.61 ID:IaRzlUwt0
- ……そうだよ。
先生が知ってるはずがない。
今だって知らないんだぞ? なんでノートにコメント書けるんだよ!
こいつは……。
本当に……。
俺のために……?
- 147 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/03(月) 01:44:59.15 ID:Q9khrJBo0
- 川ミ・∀ミ「……たぶん、みんないつかは忘れちゃう」
川ミ・∀ミ「でもオワタくんが泣いたの、俺は今も覚えてる」
川ミ・∀ミ「……ごめんね」
(^o^;)「な、なにが!?」
川ミ・∀ミ「……こういうことしたから学校来て、って言うべきかなって思った。
でもそんなの、オワタくんのこと軽んじてるのかな……っても思った」
川ミ・∀ミ「……一学期までは、オワタくんの気持ちを誰よりわかっていたと思うから。
わかったつもりで……俺は黙ってた。
もっと早く伝えるべきだったかも、って今も後悔してる……部分がある」
(^o^ )「……」
川ミ・∀ミ「勝手な想像だけど」
川ミ・∀ミ「オワタくんが登校拒否しても絶対先生に理由言わなかったでしょ?」
川ミ・∀ミ「だから先生たちには言いたくなかった」
川ミ・∀ミ「そしてオワタくんが卒業式に出るって聞いて、このことを話して謝ろうって思ってた」
川ミ;>∀ミ「ごめんなさいっ!!」 「……」(^o^ )
- 152 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/03(月) 01:55:31.15 ID:ZQ2GUFjJ0
- (^o^)「……あー」
(^o^)「あー……あー……」
(^o;)「あー……」
(;o;)「……あーくそー……」
(;o;)「卒業式でも泣かなかったのなー……」
川ミ・∀ミ「……オワタくん」
(;o;)「なんで言わねーんだよー」
(;o;)「そこは、『一矢報いたっ』、って報告にくるべきだろーがよー」
(;o;)「全然選択ミスだろー? 普通に考えろよバカヤロー」
川ミ;-∀ミ「ごめんなさい……」
(;o;)「あーあ」
\(;o;)/「負けた」
川ミ;・∀ミ「へ?」
\(;o;)/「負けたよ。お前には。俺がどうしてもやりたくて、でもできなかったことやりやがった。
俺には方法だって思いつかなかった。なのにお前はやったんだもん。
お前には勝ってるってずっと思ってたのになー。お前に負けるなんて俺オワッテルなー」
- 155 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/03(月) 02:02:41.29 ID:ZQ2GUFjJ0
- 川ミ;-∀ミ「いや……勝った負けたってオワタくん……」
(っo;)「あー……くそ……」
\(^o^)/「モララーに負けるなんて俺オワタ」
川ミ;-∀ミ「もうやめてよ……なんかバカにされてる?」
\(^o^)/「モララーに負けるなんて俺オワタ」
川ミ;-∀ミ「……」
\川∀^ミ/「わーい ねんがんの しょうりを てにいれたぞー」
(^o^;)!?
- 156 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/03(月) 02:06:31.95 ID:ZQ2GUFjJ0
- どんなに昔の偉い人も、この気持ちを名づけたことはない。
どんな辞書にも載っていない。
嬉しいとか、そんな陳腐なものじゃない。
俺しか知らない。
そんな俺も、もう二度とあの気持ちに巡り合うことはないだろう。
一度でいい。
忘れないから、一度きりでいいよ。
- 158 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/03(月) 02:13:27.80 ID:N6ffyytY0
- あいつには言いたいことがたくさんある。
本当は大嫌いだったとか。
いい加減髪切れとかさ。
でも一番言いたいのは……。
同じ高校に入学してきたことだ!!
私立受かったくせにわざわざ隣町の公立に通おうとしやがって。
担任に問い詰めてやろうかと思った……が、あいつだったので許した。
一緒に登校にするはめになるのか。
しょうがないな。
……と思っていたら、あいつは高校に入った途端、バイトの鬼と化した。
クラスもコースも違う俺に接点はなくなった。
せめてあいつが携帯を持っていれば……。
そうして一年が過ぎ。
……。
あいつは……休学した。
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