- 58 名前:◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/01(土) 13:20:19.03 ID:ff8juGLH0
- その夜は初めて自分から携帯の電話を使ってみた。
なんでもやってみるものだ。
案外携帯電話って簡単に感じる。確かにこれは便利。
そうして、ドクオさんからきた悪質メールを問いただしたり。
パソコンのことに関して問いただされたり。
そんな姿を。
デレちゃんはこっそりと見に来ていた。
……バレてるけど。
ペニサスは堂々と部屋の中に入ってきたけど。
そして。
電話越しに気配を察したのか、ドクオさんも無駄にヒートアップする。
何もない部屋だけど……この感じ……楽しい。
- 60 名前:◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/01(土) 13:33:40.04 ID:lEjRN1nR0
- −買い物当日−
ζ(゚ー゚*ζ「じゃ、いってきまーす」
ミ ・∀)「いってきます」
ミセ*゚ー゚)リ「気をつけてね」
ミ−∀−;シ「けどよかったのかな?2万ももらって……」
ζ(゚ー゚*ζ「二万円あればとりあえず一式揃うからいいんじゃない?」
ミ∀−;シ(……そうだった。『金に糸目はつけない』だったっけ)
ζ(゚ー゚*ζ「それにさ」
ζ(゚ー゚*ζ「おかあさん、おにぃちゃんにお小遣いあげたかったんじゃないかな?」
ミ ・∀)「……じゃあ、受け取って正解だった?」
ζ(゚ー^*ζ「いこっ♪ 電車、この時間なら一本早いのに乗れるからっ」
- 61 名前:◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/01(土) 13:45:11.68 ID:2m9SVPFT0
- 電車に乗っているとき、学校が見えた。
日に日に高校に対する関心が強くなっていく。
もしいくとしたら……。
俺はVIP高を選ぶのだろうか?
デレちゃんと同じ学年になって?
……俺は変わった。
前はこんな先のこと、考えなかった。
頭を過ぎりもしなかった。
余計なところに気が付いて、身動きが取れなくなりそうだ。
- 63 名前:◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/01(土) 13:54:49.67 ID:e8LyGw8r0
- ζ(゚ー゚*ζ「うーん、大体は買ったよね……」
ミ∀−;シ(これが『はしご』ってやつか……。
こんなことしなくても最初の店で揃えればいいんじゃないのか?)
ζ(゚ー゚*ζ「折角買ったんだし、午後は新しい服で回ろうよ」
ミ∀・;シ「あ、うん、そうだね」(まだ買うのー!? もう2万近くキテるのに!)
ミ∀−;シ(『金に糸目はつけない』……ここで引いたらダメだぞ、と)
ζ(゚ー゚*ζ「スタバで待ってるからね〜」
ミ∀−;シ「は〜い……」
ミ; ・∀)(……) ガサゴゾッ
ミ; ・∀)(……確かに今風というかなんというか……)
ミ; ・∀)(……でも『俺』だぞ!? こんな格好して笑われないか!?)
ミ; −∀)(……俺じゃこういうの選べないからデレちゃんが来てくれたんだ……。
覚悟決めろー、覚悟決めろー) ガラッ
- 64 名前:◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/01(土) 14:04:17.22 ID:jn+GkyUQ0
- ミ∀・;シ「……どう、です、か?」
ζ(゚ー゚*ζ「……進化?」
ミ∀・;シ「へ?」
ζ(゚ー゚;ζ「おにぃちゃん……自分で気づかないの? かなりイイよ!?」
ミ∀・;シ「い、いや、ありがとう……ハハ……」
ζ(゚ー゚*ζ(……初めて会ったときはボサボサだったのに)
ζ(゚ー゚*ζ(……ドラマみたい。変わる人なんだもん……)
ζ(゚ー゚*ζ「ね、ご飯食べにいこう」
ミ∀・ シ「う、うん、そうだね」
ζ(゚ー゚*ζ(……私……ドキドキしてるんだぁ……)
ζ(゚ー゚*ζ(……おにぃちゃんに……ドキドキしてる……)
- 66 名前:◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/01(土) 14:15:35.30 ID:FjbLCQQh0
- ζ(゚ー゚*ζ「……ごめん、ちょっと待ってて」
ミ ・∀)「……?」
ζ(゚ー゚*ζ「すぐ戻るからっ!」
ミ ・∀)「ゆっくりでいいよー」(トイレか……)
ζ(////*ζ(うー、この赤面症治したいーっ!)
ミ・∀・;シ「……格好が変わったから恥ずかしいのかな……」
ミ-∀-;シ(ていうか元からこういう場所に来ないもんなぁ)
ミ-∀-;シ(どうしよ? 俺ももう一回トイレに行く?)
モララーくん? >
ミ ・∀)「へ?」
- 67 名前:◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/01(土) 14:25:23.51 ID:3hAr8DcR0
- ( ゚∋゚)「奇遇だね、それにイメチェンかい?」
ミ ・∀)「会長さん」
( ゚∋゚)「一人なら私に付き合ってくれないか……と言いたかったが、
ふむ。その余裕は無さそうだな」
ミ; -∀)「はい……見ての通り紙袋で埋もれてますので」
( ゚∋゚)「そうか……」
( ゚∋゚)「本当はちゃんと会ったときに話そうと思ったが、
個人的に話せる機会はそんなにないからな。今聞いて欲しいことがある」
ミ ・∀)「……?」
( ゚∋゚)「モララー君。
君がVIP高に来たいならすぐにでも編入できる」
ミ; ・∀)「……!?」
- 68 名前:◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/01(土) 14:35:12.01 ID:2SFnaw5E0
- ( ゚∋゚)「VIP高校は他校に比べてユニークな校則が多い」
( ゚∋゚)「その一つに、『生徒会長権限』がある」
( ゚∋゚)「数回までなら独断で緊急集会をかけられたりと、まあいろいろあるのだが……」
( ゚∋゚)「優秀で、かつ、VIP高に編入学したい者を推薦できるというものがあるのだよ」
ミ; ・∀)「……それって」
( ゚∋゚)「私は生徒会長ではなくなったが」
( ゚∋゚)「生徒会には『顔』が効く。一年間一緒に活動してきた仲間だからね。
現会長も話のわかる奴だ」
( ゚∋゚)「家にお邪魔させてもらったとき言っただろう?
これは『君の意思の問題』だとね」
ミ; ・∀)「……そ」
( ゚∋゚)「ところで聞いた話によると、携帯を買ったんだって?」
ミ; ・∀)「え? あ、はい、買いました」(また随分話が飛んだな……)
( ゚∋゚)「私のを登録しておいてくれ。
この件に関しても、相談してきてもらってかまわないから」
ミ ・∀)「あ、ありがとうございます!」
- 69 名前:◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/01(土) 14:45:26.64 ID:cT7zMwWt0
- ( ゚∋゚)「では失礼するよ」
ミ ・∀)「あの、受験生なのに連絡して迷惑にならないですか?」
( ゚∋゚)「いい気分転換にさせてほしいのさ。
受験生も一日中勉強しているわけじゃない。大体半日程度だよ」
ミ; ・∀)(……あれ? 寝る時間削ってるわけじゃないんだよね?)
( ゚∋゚)「それでは」
ミ ・∀)「はい、連絡させてもらいます!」
ζ(゚ー゚*ζ「おまたせー」
ζ(゚ー゚*ζ「ん? どうしたの?」
ミ・∀・シ「あ、いや、そこで会長さんと会ってさ」
ζ(゚ー゚*ζ「会長と? ……ああ、クックル会長? 何話してたの?」
ミ・∀・シ「……とりとめのない世間話だよ」
- 71 名前:◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/01(土) 14:51:43.26 ID:+TloK+tq0
- 嬉しいのかと思った。
高まる高校への興味。
すぐには手の届かなかった場所への切符。
不意に道が開けてしまって。
その広さにまず戸惑ってしまう。
……引っ越してから上手いこといき過ぎている。
家に帰ってからも、この家の誰にも喋らなかった。
- 72 名前:◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/01(土) 14:57:39.73 ID:s/z09fBe0
- 買い物の最中に家電を見に行った。
パソコンだ。
『……バイトしたい』
今バイトすれば軍資金が貯まるまで3ヶ月いかないのではないか?
そんなこと思ってみていた……――ら!
その夜の夕飯のとき、
『おにぃちゃん、パソコン欲しかったの?』
なんて向かいに座る子が言い出すもんで。
違うと言ったのに……また、買ってもらえることになってしまった。
お金のある家……嬉しいけど……寒気がする。
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