2 名前:◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/01(土) 02:02:57.06 ID:TuXH/KtA0
友達ができて一週間が経った。

この間にドクオさんと三回遊んだ。
あの部屋に行くたびに驚きと楽しさが発見できる。
そしてわかったことがある。
俺は今まで、悲劇の主人公に酔っていた部分がある、と。
父さんと暮らしていたときは、強引に近づいてくるギコを除けば友達はいなかった。
キモい。
この言葉も馴れてしまっていた。
そしてそれは当たり前のことだと思っていた。
疑問に思ったことはなかった。
違うのだ。
自分の世界が狭かったから判断する材料がなかっただけなのだ。
今は知り合いもいっぱいできて。
世界はぐんと広がって。
そんなことに、16になってから気づいた。

3 名前:◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/01(土) 02:11:01.58 ID:Em3VfA1f0
                    ペニサスさんとデレちゃんは外に出ようと誘うようになった。

                      ……こんなことを思うのはへそまがりかもしれないけど。
                                         実に女の子らしいと思う。
                                                   あれだ。
                     『わたしたち的にアリになったから誘ってあげてもいいよ』
                                               そういうあれだ。
                                    もちろん今までだって優しかった。
                              接し方だって極端に変わったわけじゃない。
                                  ……だからこそ、背筋に鳥肌が立つ。
                                                    それに。
                                   あからさまなペニサスさんの方が。
                          半端に近づきすぎるデレちゃんよりも安心できる。
          ……デレちゃんに対して、前よりもっと、自然に接することができなくなった。
                    もちろん心の話で、そんな素振りを出すつもりはないけど。

4 名前:◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/01(土) 02:19:34.65 ID:oq2mzxYe0
押入れの中にこっそりと父さんの仏壇を作ってみた。

小さい、おもちゃみたいなものだ。
一応隣には写真を置いてみる。
理由は……白状するとお金の使い道がなくて、それでも家に居づらくて。
ふとデパートで見つけたので……という感じ。そんなもんだ。
まぁ衝動買いという奴だと思う。
ちょうど一ヶ月経ったし、節目としてはいいのではないだろうか。
だからといって親孝行ではないから自己満足。
この家の仏壇には父さんの写真を置きたくなかった。
俺は……自分が思っていた以上に……頑なだった。

7 名前:◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/01(土) 02:29:29.58 ID:e3qUWA7W0
   ζ(゚ー゚*ζ「おにぃちゃーん、どう?」

(∀−;シ「……まだ100ページも進んでないです」

   ζ(゚ー゚;ζ「えぇっ! まさか説明書全部読む気なの!?」

ミ ・∀)「え? 読まなくていいの?」

   ζ(゚ー゚;ζ「ふつー読まなくても使えるよ。貸してみて」

   ζ(゚ー゚*ζ「ついでにアタシのも登録しちゃうね♪」

ミ ・∀)「あ、うん。お願いします」

   ζ(゚ー゚*ζ「へへ〜♪ まかしてよ〜♪」 ピポパポ

   ζ(゚ー゚*ζ(……こんなにカッコよくなったんだから次は肌と服装よね) ピポパポ

   ζ(゚ー゚*ζ(肌は……規則正しい生活はしているし……洗顔料かなぁ?
          服装はおにぃちゃんコーディネートって知らないだろうし……。
          やっぱり私が見てあげなくっちゃね♪) ピポパポ

   ζ(゚ー゚*ζ「はい、できたよー♪」

ミ ・∀・)「ありがとうデレちゃん」

   ζ(゚ー゚*ζ「説明書って無駄なことの方が多いと思う。
          わからないことあったらいつでも教えるね」

11 名前:◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/01(土) 02:38:39.73 ID:ZUcAHL930
ミ・∀・;シ(……しっかし髪切ってからのデレちゃんは……)

ミ・∀・;シ(なんでこんなにルンルンなんだ……)

ミ・∀・;シ(前みたいに普通に接してくれればいいのに……)

ミ∀−;シ(ううう……前よりもっと『何か話せ!』オーラを感じる……)

   ζ(゚ー゚*ζ「……?」

ミ∀・ シ(あ、そうだ)

ミ ・∀)「デレちゃん、これも登録してほしいんだけ……」

ミ・∀・;シ「あ、やっぱなんでもないです」

   ζ(゚ー゚;ζ「な、なに? いいよ、やってあげるよ」

ミ∀−;シ「い、いや、いいよ……。自分でやらないと覚えないだろうし……」

   ζ(゚ー゚;ζ(なんだろう? 何か隠してる?)

ミ∀−;シ(ドクオさーん! この名刺……)

ミ∀−;シ(アレじゃないですか! 秋葉系の女の子描いてあるじゃないですか!)

ミ∀−;シ(こんなのデレちゃんに見せられないですよー!)

12 名前:◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/01(土) 02:46:06.19 ID:ZUcAHL930
   ζ(゚ー゚*ζ(……怪しい)

ミ; ・∀)「と、とりあえず今夜は時間かかっても一人でやってみるね」

   ζ(゚ー゚*ζ「……おにぃちゃん」

ミ; ・∀)「それで解決しなかったら聞きに行くから。
     ほら、あんまりここで話してると湯冷めするよ。ささ、部屋に……」

   ζ(゚ー゚*ζ「なにを、隠しているの?」




ミ; ・∀)「そ」

   ζ(゚ー゚*ζ「そ?」




('、`*川「モラちゅわん、上がったわよ〜」

ミ∀・;シ「あ、はい!」

ミ; ・∀)「じゃあ俺風呂入りにいくね!」

   ζ(゚ー゚*ζ「……ふーん」

15 名前:◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/01(土) 02:50:21.61 ID:ZUcAHL930
ミ・∀・;シ「さて、着替え着替え〜」

ミ・∀・シ(よしっ! 着替えを取ると同時に箪笥の中に名刺を……)

ミ・∀・シ(隠してっ! 服の間に埋めたから気づかれないな!)

ミ ・∀)「ではお風呂いってきます」

   ζ(゚ー゚*ζ「……」

('、`*川「フタしてないから〜」




('、`*川「ん? アンタどうしたの?」

   ζ(゚ー゚*ζ「……なんか、ひっかかった」

('、`*川「……?」

16 名前:◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/01(土) 02:53:42.47 ID:ZUcAHL930
   ζ(゚ー゚*ζ「……おねぇちゃん」

('、`*川「なに?」

   ζ(゚ー゚*ζ「さっきおにぃちゃんの携帯に私のを登録したんだけど」

   ζ(゚ー゚*ζ「登録したい人をがあって、それを私に見せたくなかったみたい」

   ζ(゚ー゚*ζ「どう思う?」

('、`*川「……そりゃあアンタ」




('、`*川「女じゃね?」

   ζ(゚ー゚*ζ「……」

17 名前:◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/01(土) 02:57:44.45 ID:ZUcAHL930
   ζ(゚ー゚*ζ(……なんで私)

   ζ(゚ー゚*ζ(わざわざおねぇちゃんに聞いたんだろ……)

('、`*川(……固まるとかさ)

('、`*川(……兄貴できたからって舞い上がりすぎだろ)

('、`*川「別に女できてもいいじゃん」

('、`*川「モラちゃんが彼氏なわけでもないんだし」

   ζ(゚ー゚*ζ「……うん、それは……わかってるんだけど……」





   ζ(゚ー゚*ζ「……なんか、やだ、……って思った」

('、`*川「ガキ」

   ζ(゚ー゚;ζ「ううう、うるさいなっ!」

18 名前:◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/01(土) 03:06:10.60 ID:1PISU3pp0
−翌日 VIP高 昼休み−

   ζ(゚ー゚*ζ「……と、そういうわけで」

(*゚ー゚)「ふーん」

   ζ(゚ー゚;ζ「え? それだけですか?」

(*゚ー゚)「……うん」

(*゚ー゚)「ごめんねデレちゃん」

(*゚ー゚)「聞き終わったけど、『それで?』って感じ」

   ζ(>ー<;ζ「だ、だって私は気になるんです!」

(*゚ー゚)「でもモララーくんにだって好きな人くらいいるんじゃない?」

(*゚ー゚)「デレちゃんにはいないの?
     もしくはいなかったの? 今まで、一度も」

   ζ(゚ー゚;ζ「そ、そんなこと……」

(*゚ー゚)「……とりあえず私に言えるのは」

(*゚ー゚)「ハインちゃんには相談しないほうがいいってことくらいかなー」

   ζ(゚ー゚*ζ「あ、それは大丈夫です。
          私もそう思ってしぃ先輩のところに来ましたから」

22 名前:◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/01(土) 03:14:54.60 ID:1PISU3pp0
   ζ(゚ー゚*ζ「あーあ、私にも学校の中心で愛を叫んでくれる人がいればなー」

(*////)「そ、それはもう話題に出さないでよ!」

   ζ(゚ー゚*ζ「本当に学校公認カップルなんだもんなー」

(*////)「……まさかビデオ撮られてたなんて」

(*////)「……まさかEDセレモニーのダイジェストで流れるなんて」

(*////)「絶対卒業式とか同窓会とか結婚式とかでアレがまた流れるんだわー!
      本当に抹消したいぃぃぃぃぃぃ!」

   ζ(゚ー゚*ζ「お付き合い飛び越えて婚約ですもんねー」

(*////)「わかったからデレちゃん!
      もうちょっとは真剣に聞くから!」

(*////)「だからもうその話やめてよぉ……もぅ……」




   ζ(゚ー゚*ζ(……やっぱ私が男だったらしぃ先輩が好きになるよねぇー)

26 名前:◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/11/01(土) 03:29:24.55 ID:4/Hw+skb0
(*゚ー゚)「……でも今までの話を整理していくと」

(*゚ー゚)「モララーくん、一週間前からの今日までの中で、
     その連絡先をもらってきた可能性が高いんじゃない?」

   ζ(゚ー゚*ζ「そうなんですよ」

(*゚ー゚)「でもモララーくんの性格からいって」

(*゚ー゚)「好きな人がもし居ても連絡先なんて聞けないわよね。
     髪切ったくらいで知らない人に話しかけれるタイプじゃないし」

   ζ(゚ー゚*ζ「そう! そうなんです!」

(*゚ー゚)「可能性あるといえば町歩いていて連絡先渡されるとかだけど……」

(*゚ー゚)「いくら首より上が『前』よりマシになったっていっても、
     あの着こなしセンスで声かけられるほど見た目良いとは言えないわよね」

   ζ(゚ー゚*ζ「正直オールユニクロの方がイケてますもんね!」

(*゚ー゚)「……わからないから、秘密兵器出しましょうか?」

   ζ(゚ー゚*ζ「秘密兵器?」

(*゚ー゚)「私たちにはできないこと平然とやってのける人を使うのよw」

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