2 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/10/27(月) 15:42:47.06 ID:8w5cU/x80
十一月。

相変わらず俺は問題を先延ばし中だ。
モナーさんも何も言わない。
……それが家に居づらい。
でも3on3での筋肉痛で外に出られない。
肉体労働のバイト→バスケの感を取り戻す自主トレ。
それでもやっぱ、自分のキャパを越えるプレーを目指せば当たり前だ。
なにより、バッシュじゃなかったのが原因なのだけど。

3 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/10/27(月) 15:50:41.44 ID:VyM3EXXr0
                               デレちゃんからの呼ばれ方が変わった。

                                        ……正直、戸惑っている。
                                                あらためて、
                                         『この子は妹なんだな』
                                                と認識する。
                          懐いてくれるのは嬉しいことなのだろうけど……。
  一緒にいると何か話をしなくてはいけないという、得体の知れない強制力を感じてしまう。
                                      嬉しいはずなのだ、普通は。
                                                  美人だし。
                                                 かわいいし。
                                               よく気がつくし。
                                        ……原因は俺の方にある。
                                      あることは……わかっている。
                                    それでも、やっぱり、……疲れる。

4 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/10/27(月) 15:57:12.12 ID:U7SoBMuy0
手元には9万円が残った。

引っ越す前の生活費。
最後のバイト代。
……使い道が外食しか思いつかない。
しかしこの家は朝昼晩、しっかり料理が用意される。
そのため、外食といってもおやつかジャンクフードが関の山だ。
(食べる量が少なくなると、母さんが落ち込むため、過度には外で食えないのだ)

5 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/10/27(月) 16:05:32.65 ID:yL88uv3c0
                                俺はVIP高に文化祭以来いっていない。

        けれどもギコやらしぃちゃんやらハインちゃんやらがよく家に来るようになった。
                                           集まるのは俺の部屋。
                                  広い上に余計なものが無いためだ。
                   女の子の部屋を溜まり場にはできないし、妥当な流れだろう。
                            デレちゃんも下校仲間が毎日いて楽しそうだ。
                     ペニサスさんにもうギコを狙わないのか、と聞いたところ、
                            『あの感動の告白に茶々いれるつもりはない』
                                                    そうだ。
                          この人は自分の中でしっかりした境界線がある。
       『もしかしたら、しぃちゃんがあの場に到着することを見込んでいたんですか?』
                             そう聞くと、彼女はニヤリと笑みを浮かべた。

6 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/10/27(月) 16:14:19.24 ID:hoJEcTc80




< ピンポーン♪




ミセ*゚ー゚)リ「はーい」

( ゚∋゚)「あ、どうもこんにちは」

ミセ*゚ー゚)リ「どなたでしょう?」

( ゚∋゚)「あ、私クックルと言います。ペニサス先輩の部活の後輩で……」

ミセ*゚ー゚)リ「あれそうなの? でもペニサスは今出かけてて」

( ゚∋゚)「いえ、実はモララーくんともデレちゃんとも知り合いで今日はそちらを訪ねにきたもので……」

ミセ*゚ー゚)リ「あの子たちともお知り合い?」

( ゚∋゚)「文化祭でちょっとしたご縁がありまして」

ミセ*゚ー゚)リ「二人とも居るわ。上がって頂戴」

9 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/10/27(月) 16:28:21.78 ID:9ZmWWMtu0
ζ(゚ー゚;ζ「せ、生徒会長! どうしたんですか!?」

ミセ*゚ー゚)リ「まぁクックル君は生徒会長さんなの?」

( ゚∋゚)「文化祭が最後の仕事だったのでもう違うんですけどね」

川∀・ミ「あ、どうもこんにちは。ドリンク券ありがとうござました」

( ゚∋゚)「いやいや、君のプレーに感動したからおひねりを渡したかったんだ。
     そう思ってくれ」

川∀・ミ「あんなのもうやれって言われてもできないですよー」

( ゚∋゚)「まさか。あれだけ動けるっていうのはそうとう練習していたはずだよ。
     中学でもやってたんだろ?ポジションは?」

川∀・ミ「そんな、自己流ですよー。中学は帰宅部でしたし」

( ゚∋゚)「ではストリートのチームでも作っているとか?」

川∀−;ミ「いえいえ、そんな人たちいたら当日にチームメイトなんて探しませんよ……」

(; ゚∋゚)「……え、あ、まあそうかな……? ハハ……」

(; ゚∋゚)(確かに部活などで指導を受けた動きには見えなかったが……)

(; ゚∋゚)(ストリートでもないとすると、こいつ何者だ?)

( ゚∋゚)(……やっぱり興味をそそられる。来て正解だった)

10 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/10/27(月) 16:43:27.16 ID:sRfNR35V0
( ゚∋゚)「じゃあなんであんなに上手いのか興味あるな。
     ぶっちゃけるとね、これを知りたくて居てもたってもいられなくなったわけだよ、うん」

川∀・ミ「俺なんてそんなたいしたことも無いんですけどね。
     あえて言うとすれば中学三年の後半は体育は自由参加だったんです。
     そこでなぜかギコが俺をしょっちゅうパートナーに選んで、
     みっちり仕込まれた……くらいしか思いつきませんねー。
     ずっと二人でやってたから個人技くらいしかできませんけど」

( ゚∋゚)「なるほど……。体育で……ねぇ……」

川∀−;ミ「あいつ体育なのに、『部室のバッシュ貸してやるから真剣勝負だぞゴルァ!』
      っていつでも本気勝負だったんですよ……。レベルが違いすぎるのに……。
      だから文化祭も変態じゃなくてギコが相手だったら勝ってませんね、絶対」

( ゚∋゚)(……ギコが彼に拘っているのは、バスケの腕じゃなくてもっと個人的なものか)

( ゚∋゚)「それで君は、ギコからVIP高に誘われているんだろ?」

ミ∀・;ミ川(……ですよねー。なんとなく読めてたけどやっぱそうきたかー)

ミ∀・ミ川 チラッ



                                              …… ミセ*゚ー゚)リ

ミ∀−;ミ川(……)

ミ∀・ミ川「いやぁ誘われてるっていってもこの時期だと返事のしようもないですからねー」

12 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/10/27(月) 17:01:38.03 ID:RBfPuVBt0
( ゚∋゚)「そんなことはないぞ。君の意思の問題じゃないか」

ミ∀・ミ川「いやいや、転入試験は9月が終わってますし、早くても来期なんですよ。
     今在籍している学校も今年は4月から休学しているし、編入するとしてもまた二年なんですよね」

ミセ*゚ー゚)リ「別に休学していたんだから留年とは違うじゃない。
      来年からVIP高に通うのよね?」

ミ∀−;ミ川(きたか……)

川ミ;・∀ミ「俺的には大検という手もありますし、とりあえず今焦って決める必要は無いと思うんですよね。
      決定するのは3月頃でいいんじゃないかと……」

ミセ*゚ー゚)リ「何言っているの?あなたはちゃんと高校生をやるべきなのよ。
      私だってそうさせてあげたいし、あの人だって絶対にそう願っているはずよ!」

ζ(゚ー゚;ζ「お、おかあさん! 落ち着いて!」

ミセ#゚ー゚)リ「なのに余計な遠慮ばかりして!あなたはもう普通に学校にいくのよ!
      普通の高校生になれるのよ!なんで……」

(; ゚∋゚)「まあまあ、落ち着いてください……」

(; ゚∋゚)(……不用意だったか。家庭の事情に油を注いでしまった……)

13 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/10/27(月) 17:14:54.95 ID:xbsQQ3JH0
(; ゚∋゚)(……この状況で伝えるのは得策じゃないな)

( ゚∋゚)「でもまぁ正規の編入手続きは一番早くても来期であることは間違いありません。
     たっぷり時間をかけて話し合えば良い結論にたどり着きますよ」

( ゚∋゚)(……なにを偉そうに言っているんだか俺は)

川∀・;ミ「で、ですよね。ははは……」

( ゚∋゚)「そうだ。まだ君のメルアドを知らなかったな。この機会に聞いてもいいかね?」

ミ∀・ミ川「あ……それは……」

ζ(゚ー゚*ζ「会長、おにぃちゃんいまどき珍しく携帯持ってないんですよ」

( ゚∋゚)「それは……なにかと不便じゃないかい?」

ミセ*゚ー゚)リ「そうよね。連絡つかなくなるのも困るし、一番に買ってあげないといけなかったわ」

川∀・ミ「」んー…、俺はそういうのいらないんですけどね」

ミセ*゚ー゚)リ「いーえ、貴方が要らなくてもこちらから連絡したいときのためにもなります。
      お父さんが帰ってきたら相談しなくちゃ」

ζ(゚ー゚*ζ「うちは家族みんな一緒のメーカーだからファミ割りだしね」

川ミ;・∀ミ(うーん、携帯使いこなせるのかな俺……)

14 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/10/27(月) 17:29:32.15 ID:JYMxUAp/0
−その夜−

( ´∀`)「確かに忘れていたモナ。携帯は必要モナね」

ミ∀・ミ川「すいません……」

( ´∀`)「会社に入ったときにも携帯は必須モナ。使える自信がないなら尚更持ったほうがいいモナ」

川∀・ミ(言われてみればその通りだな……)

ζ(゚ー゚*ζ「わからないことあったら教えてあげるね」

川∀・;ミ「うん……たぶん頼ると思うからよろしくね」

('、`*川「それはそうとさ」

('、`*川「モラちゃん、髪切らないの? いい加減ハタキみたいな頭になってるよ」




( ´∀`) ミセ*゚ー゚)リ ζ(゚ー゚*ζ 「「「あー……うんうん」」」

川∀・;ミ(……ハタキっすか)

16 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/10/27(月) 17:39:14.37 ID:3j/SV8DF0
ミ∀・ミ川「この季節は寒いですから。うっかり切ると枕が冷たくて冷たくて」

ミセ*゚ー゚)リ「でもそれにしたって見苦しいわね」

( ´∀`)「こだわりもないんだモナね?」

ζ(゚ー゚*ζ「わたし短くしたおにぃちゃん見てみたい!」

('、`*川「美容院とかどのくらいのペースでいくのさ?」

川∀・ミ「いえ、基本は自分で切ってますよ。後ろは他の人に」

川∀・ミ「バリカンで」




('、`;川「……え? じゃあ普段は坊主なの?」

川∀・ミ「まぁそうですよ」

ミセ;゚ー゚)リ(これは意外だわ……)

(;´∀`)(ある意味一番らしい選択と言えなくもないモナが……)

ζ(゚ー゚;ζ(こんなに見た目に無頓着だからオタクっぽい外見なんだね……納得)

('、`;川(だから髪に流れが無くてハタキ状態になるのか……)

19 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/10/27(月) 17:49:30.36 ID:ZS4rq9yO0
('、`*川「ならさ、アタシが切ってあげようか?w」

ミ∀−;ミ川「あ、いえ……」(なんですかその笑いは……)

ζ(゚ー゚*ζ「おねぇちゃんより私の方が上手いよ! 友達の髪たまに切るし」

⊂('、`*川「なによ? アタシのほうがこういう雑草状態の頭を手入れ……」




 ベチョ

∩('、`*川「……」

ζ(゚ー゚*ζ「……?どうしたの?」

('、`*川「デレ……アンタ手ぇだしな」

⊂(゚ー゚*ζ「……?」




 ベチョ

∩(゚ー゚;ζ「……ぃ」

ζ(>ー<;ζ「いやぁああああああああ!!! きもいぃぃぃぃぃ!!!!」

21 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/10/27(月) 17:55:31.52 ID:0pdhQIWd0
川∀・;ミ「え、なにが……?」(久しぶりにキモいって言われたな……)

('、`;川「アンタ、毎日お風呂入っているよね?」

川∀・;ミ「はい……ってます……よ?」

('、`#川「じゃあなんでこんなビン漬油塗ったみたいな頭皮してるのよ!!」

ミ∀<;ミ川「痛っ! 痛い! そして俺の服に拭わないでくださいよ!」

ζ(゚ー゚;ζ(全身が鳥肌立った……)

22 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/10/27(月) 18:07:57.67 ID:4SCT/4Xa0
( ´∀`)「もしかしてシャンプーがちゃんと流れていないんじゃないモナ?」

川∀・;ミ「そうなんですかね?自分じゃよくわからないですが……」

ミセ*゚ー゚)リ(……そういえば……ろくにお風呂の入り方も教えてないのかも……)

('、`#川「お前こっちこい!」

川ミ;・∀ミ「え……な、何するんですか……?」

('、`#川「風 呂 に 入 れ る ん だ よ ! !」

川ミ;・∀ミ「ちょ、風呂ぐらい一人で入れますよ?」

('、`#川「誰が一緒に入るっつったーーー!! んなキモい発想してんのお前だけっつーの!」

('、`#川「あとテメーアタシのシャンプー使ってねぇーだろうな!?」

川ミ;・∀ミ 「え? シャンプーに誰のとかあったんですか?
       使っているのはオレンジの容器の……」

('、`#川「そーーーれーーーだーーーよーーー!!!」


30 名前: ◆sJZmtVUczw 投稿日:2008/10/27(月) 18:43:19.30 ID:gzF68Ha70
明日美容院に行くことを固く誓約させられた。

『そこでシャンプーの仕方も学んで来い!』
だそうだ。
場所はペニサスさんの行きつけらしいけど……。
床屋、ならまだしも、美容院、ってなんか怖くない?俺だけ?
それに近いニュアンスを口にしたら、母さんがついてくると言い出した。
すいません、それは勘弁してください。
寝る前にデレちゃんの持っている雑誌でどんな髪にするか話し合った。
『ボサボサも見納めだね』
そう言って、さっき絶叫したくせにやたら髪をいじってくる。
もうぬめりはなくなったから合格なんだそうだ。
髪留めとかゴムとかで遊ばれたけど。
いじらせておけばそれが話題になるし、今夜は気まずい気持ちにはならなかった。


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