4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/27(日) 23:10:17.68 ID:H3vEgsKd0
三日目
5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/27(日) 23:13:01.10 ID:H3vEgsKd0
/ -、- /「…………」
/ ゚、< /「ん?」
ゆっくりと視界が広がる。
見慣れぬ天井だなぁ、と思って頭をかいた。
よくよく考えればここは水栄村のプレハブ小屋だ。
/ ゚、。 /「今日も仕事だなぁ」
んー、と背筋を伸ばした。
真横で寝ている先輩に声をかけた。どうせ眠っているんだろう。
8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/27(日) 23:16:32.47 ID:H3vEgsKd0
/ ゚、。 /「先輩?」
抜け殻のような布団だけがある。ちゃんとたためよあの野郎。
/ >、< /「んー、なんかまだ眠い、体重いし、ちょっと熱っぽいし」
先輩トイレかなー、なんて考えながら上半身だけを起こしてぼんやりとしていた。
あぐらで髪ぼりぼりかいてるところなんてあんまり人に見られたくないな。
( ^ω^)「お」
内藤が来た。
なんだか恥ずかしくなって、正座なんかしてみる。
11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/27(日) 23:19:32.09 ID:H3vEgsKd0
( ^ω^)「起きましたか。おはようございますですお」
/ ゚、。 /「おはよ」
( ^ω^)「体調は大丈夫ですかお?」
/ ゚、。 /「体調?」
(;^ω^)「お、寝ぼけているんですかお?」
何を言っているんだ?
( ^ω^)「昨日の夜、高熱を出して倒れたって、ぃょぉさんが言ってましたお」
15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/27(日) 23:22:54.54 ID:H3vEgsKd0
ξ ゚听)ξ「おかゆですよー」
ツンが小さな鍋を持ってきた。
疑問だらけでオロオロしていても話は進む。ありがたいことにしよう。
( ^ω^)「好きなだけ寝かしてやってくれ、って言われてたんですけど、案外早いし、大丈夫そうで安心ですお」
/ ゚、。;/「今は、何時?」
( ^ω^)「ちょうどお昼ですお。12時、過ぎ、ですお」
/ ゚、。 /「…………」
/ ゚o。 /「アッ―――――――!!!!!!!!!!!!!」
ξ ゚听)ξ「!!!!!!」(゚ω゚ )
全部、思い出しましたよ、ええ。
16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/27(日) 23:25:58.30 ID:H3vEgsKd0
昨夜。
(=゚ω゚)ノ「イオ、イオ、大丈夫?」
揺れる世界の向こう、霞む視界の先に先輩の顔があった。
/ "、,, /「せ、先輩?」
本当に先輩か?
その首はついているのか?
私はぺたぺたと彼の首に触れる。
確かに胸と繋がっている。
生きている。脈を打っている感触がする。
18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/27(日) 23:29:28.02 ID:H3vEgsKd0
(=゚ω゚)ノ「どうしたの?」
やばい。泣ける。
先輩だ、先輩がいる。本物だ。
/ ;、; /「ぜ、ぜんばい。ぜんばい、私、私、ぜんばいのぐびを……、ぐびを」
(=゚ω゚)ノ「……落ち着いて、ね、ゆっくり、息を吸って、吐いて。……そう、上手。もう一回」
先輩に言われるまま、繰り返し深呼吸をしてなんとか気を保った。
(=゚ω゚)ノ「ごめんね。最初から一緒に行こうって言ったらよかったんだよね」
先輩はそう言って私の頭を抱きしめる。
彼の小さな体ではそれが限界なのだろう。
19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/27(日) 23:32:13.43 ID:H3vEgsKd0
だが、その、小さな行為が、今の私には大きすぎた。
人の、先輩のぬくもりがじわじわと私に移る。
息をするたび、先輩を感じられる。
/ ;、; /「せんぱ、先輩……」
うわあああああああ、と27にもなっての大泣きである。
まじだ。
まじ泣きだ。
(=゚ω゚)ノ「よしよし」
なんて先輩に頭を撫でられて、安心してよけい泣いてしまった。
そうしたら、疲れのせいか眠くなって……。
そう、そして今だ。
20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/27(日) 23:34:54.43 ID:H3vEgsKd0
/ ゚、。 /「…………」
orz
(;^ω^)「ど、どうしたんですかお」
ξ;゚听)ξ「と、突然。具合でも悪いんですか」
23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/27(日) 23:38:16.54 ID:H3vEgsKd0
(;^ω^)「ど、どうしたんですかお」
ξ;゚听)ξ「と、突然。具合でも悪いんですか」
/ ゚、。;/「いや、なんでもないんだよ、ええ、ほんと、なんでもな――」
|||
|orz
(;^ω^)(……なんかある)
ξ;゚听)ξ(あるわね……)
24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/27(日) 23:42:47.99 ID:H3vEgsKd0
/ ゚、。||/「…………」
最悪だ。
よりにもよって先輩の目の前でまじ泣きだなんて。
末代までの恥だ。生き晒しだ。自殺レベルじゃないか。
というか、いや、だって。
ああ、なんか、本当どうしよう。
いや、でも都合のいいことにハグしてもらったし。
いやいやいやいや。
そんなことより羞恥心がはるか上を行くわ。
死にたい。
うふふ、死にたい。
/ ゚、。||/「内藤君」
( ^ω^)Σ
( ^ω^)(急な君付け!言ってもあだ名で呼ばないのに!!)
25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/27(日) 23:47:38.44 ID:H3vEgsKd0
( ^ω^)「なんでしょうかお」
/ ゚、。||/「先輩は今どこにいるか知っているかな?」
( ^ω^)「暇だからぶらぶらしてくる、って言ってましたお」
/ ゚、。||/「何分ぐらい前のことかな?」
ξ ゚听)ξ「んー結構前ですよ。多分、ニ時間以上は確実に前です」
そういえば中々帰ってきませんねー、とツンが笑う。
中々帰ってこないということは、もういつ帰ってきてもおかしくない、そういうことなのだよ。
もし、ひょっこり帰ってきた彼を見て、私はいつもの私でいられるだろうか。
/ ゚、。||/「…………」
(;^ω^)ごくり
ξ;゚听)ξごく
28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/27(日) 23:53:21.63 ID:H3vEgsKd0
/ ゚、。||/「…………」
※脳内です
∧,,∧ ∧,,∧
∧ (´・ω・) (・ω・`) ∧∧ どうするの?顔合わせるの恥ずかしいよ?
( ´・ω) U) ( つと ノ(ω・` )
| U ( ´・) (・` ) と ノ
u-u (l ) ( ノu-u でも近いうちに顔合わせなきゃ
`u-u'. `u-u'
いっそイチャイチャできたんだし、それでいいじゃ――
ババババ
∧,,∧ ∧_∧
,,.(・ω(:;⊂=(;ω;`#)∧,,∧ やめて!欲望が死んじゃう!理性止めて!!
(;´・ω)⊂=⊂≡ ⊂ノ( )
| U ( ;´・) (・`; )と i
u-u (l ) ( ノしーJ
`u-u'. `u-u' おいおい、またでたよ、ツンデレ
33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/27(日) 23:58:50.26 ID:H3vEgsKd0
/ ゚、。||/「私はツンデレなどではない!」
ξ||゚听)ξ「わ、わたしっ?」
/ ゚、。||/「い、いや。違う。…た、煙草吸って、くる……」
煙草とライターを握り、プレハブを後にした。
少し、歩いて、広場に出て、階段に腰掛ける。
/ ゚、。||/「なんという憂鬱」
オーケーだ。
少し、頭を冷やせ。
∧,,∧ ∧,,∧
∧,,(´-ω-)(-ω-`)∧,,∧
( ´-ω)旦o) (o旦o(ω-` )
(_ o[( ´-) (-` )]o _)
└'ー-(_ )][( _)ー'┘
'ー'^ー' 'ー'^ー'
36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/28(月) 00:02:47.55 ID:9usEMUEe0
/ ゚、。 /「ふぅ」
ツンデレどうのこうのはまず、今はどうでもいい。
…………
いや、やっぱり駄目だ。
私ツンデレじゃないし。
だいたいツンデレって普段ツンツン、二人っきりだとデレーみたいなのだろ。
んな恥ずかしいことできるかい。
/ ゚、。 /「違うな」
煙草が美味しそうです。
そして、少し考える。
39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/28(月) 00:11:21.02 ID:9usEMUEe0
まず先輩は生きていた?
というか生きていないとここに私がいる意味が分からんし。
でも、なら、私が見た、アレは?
/ ゚、。 /(……幻覚?)
幻術だ。
笑わせるな。
あのぬるりとした血の感触。
体が血で冷えていく感覚。
/ ゚、。 /「待て」
なら私が今着ている服は何故汚れていない。
慌てて服を見るが血の汚れなぞどこにもない。
所々埃や泥で汚れているだけだ。
もちろん着替えてなんかいない。
どういうことだ。
41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/28(月) 00:15:39.91 ID:9usEMUEe0
/ ゚、。 /「原点に戻せ」
内藤もツンも“今日”の段階で先輩を見ている。
なら先輩は生きている。
私だって見ている。首に触れたことをはっきりと覚えている。
/ ゚、。 /「…………」
先輩は生きている。
もうすぐ帰ってくるだろう。平気な顔をして。
/ ゚、。 /「……見取り図」
ふと、汚れたシャツを見て、同じように劣化した見取り図を、室内図を思い出した。
そう、見取り図だ。
先輩が持っていた四枚目。
あれはなんだという。
四枚目。
四枚目……。
44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/28(月) 00:18:35.30 ID:9usEMUEe0
/ ゚、。 /(逆に……)
逆に私が持つとしたら、そこに何が書いてあればいい。
水栄村の地図。
洋館の見取り図。
それだけで十分じゃないのか?
ならあの四枚目はなんだという。
/ ゚、。 /「…………!」
まさか、……いや、でもありえる。
46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/28(月) 00:21:34.28 ID:9usEMUEe0
/ ゚、。 /「……地下室」
地下に部屋があれば、あの四枚目が地下室ということで全て丸く治めることが出来る。
隠された地下の部屋。
あってもおかしくはないだろう。
/ ゚、。 /「だが、……何故先輩は隠す」
そう、隠し事が多い。
もはや気まぐれですまないレベルだ。
この村に来てから、何かがおかしくなっている。
/ ゚、。 /「…………あ」
結局、一口も吸わず煙草は全て灰になっていた。
/ ゚、。 /「……シャワー、借りよう」
48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/28(月) 00:25:09.53 ID:9usEMUEe0
帰ってきた先輩を問い詰めればそれですむ話だ。
今は汗でぐちょぐちょの体を洗うことにしよう。
/ ゚、。 /「よいしょ」
お尻についた汚れを払った。
/ ゚、。 /「ん」
と、何かが引っかかった。
脳みそに影を落としたように、思考の端で爪を立てた。
とても重要な何かだ。
その大切なことを私は忘れている。
51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/28(月) 00:28:00.42 ID:9usEMUEe0
だが、
/ ゚、。 /「思い出せない?」
元々大切なことではなかったのかもしれない。
だが、引っかかっている。
引っかかっている。
それがわからない。
52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/28(月) 00:31:36.59 ID:9usEMUEe0
(*^ω^)「ひぃっ!湯上り美人!!」
/ ゚、。 /「そんなこと言っているとツンに怒られるぞ」
ξ ゚听)ξ「怒りませんよー」
そう言いつつ内藤のシャツの裾を引っ張っているのは何か。
/ ゚、。 /「先輩帰ってきたかい?」
( ^ω^)「まだですお」
ξ ゚听)ξ「イオさんは本当にぃょぉさんのこと好きですねー」
/ ゚、。 /「ばばばっばばあ、ばかいいいいいい、言いなさんなよって!」
(;^ω^)(めんどくせぇ)
からから、と入り口の引き戸が開く音がした。
タオルで頭を拭きつつ、あくまで動揺してませんよ、そんなオーラを漂わせつつ。
私は彼を待つ。
54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/28(月) 00:33:30.00 ID:9usEMUEe0
/ ゚、。 /「お帰りなさい」
(=゚ω゚)ノ「泣き虫みっけ!!」
/ ゚、。 /「……おやめなさい」
(=゚ω゚)ノ「泣き虫泣き虫!!!」
/ ゚、。 /「…………」
(=゚ω゚)ノ「むひょぉぉおwwwwww」
/ ゚、。 /「…指先から……黒い、粉…………」
(=゚ω。)ノ「ぎゃああああ、体がバラバラになってくぅうううううう」
ξ ゚听)ξ「誰かキクラゲを呼んで!!」
(;^ω^)「それより能井さんのほうが……」
ξ ゚听)ξ「ブーンなんとかしなさいよ!!」
(;^ω^)「だ、だめだお。僕の魔法は藤田さ――」
(;゚ω゚)「体、バッラバラ!!」
ξ||;凵G)ξ「きゃあああ、ブーン!!!!」
58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/28(月) 00:36:19.07 ID:9usEMUEe0
/ ゚、。 /(ってな感じでいこう)
( ^ω^)「分かりにくいネタだお」
/ ゚、。 /「何か言ったか?」
( ^ω^)「キンタ――口が勝手に動きました。何故でしょう」
そうこう話しているうちに先輩は私たちの前を無言で通り過ぎた。
/ ゚、。 /「…………」
/ ゚、。;/「あれ?」
内藤たちと顔を合わせる。
分かりませんよ、そんな顔をされるのだが私も何が起こったのか理解できない。
64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/28(月) 00:42:55.34 ID:9usEMUEe0
冷蔵庫から冷やしたジュースを取り出し、
飲んでいる。
それだけ。
/ ゚、。 /「先輩?」
( )「何」
あれ、と思った。
あれ。
なんか変だ。
/ ゚、。 /「なんか、その、昨日迷惑かけたみたいで、すいません……」
空気が、違う。
なんだろう、この嫌な感じ。
( )「いいよぅ、別に。僕先輩だし」
先輩は、背を向けて、私を見ない。
あれ
れ?
69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/28(月) 00:46:39.37 ID:9usEMUEe0
/ ゚、。 /「口癖、戻したんですか?」
( )「飽きた」
/ ゚、。 /「え?」
( )「飽きたから、戻した。それに今はまだいらない」
遠くなる。
( )「プレハブに戻ってるよぅ」
先輩が、遠くなる。
/ ゚、。 /「せんぱ……」
何で一回も私の方を見ないんですか。
からから、と閉まる引き戸が重たく見える。
反射的に伸ばした右手が虚しく宙を掻いて、静かにおちていく。
71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/28(月) 00:49:44.85 ID:9usEMUEe0
(;^ω^)「…………」
ξ;゚听)ξ「…………」
先輩が、私の知らない人になっていた。
たった一晩で全然知らない人になっていた。
いつものふざけた彼はどこにいったのか。
/ ゚、。 /「い…………」
たまらない。
胸の奥がキュッと締め付けられる。
ちくりとした痛みが、小さな痛みが辛くて俯いて自分の胸を右手で押さえてみる。
足はどちらも動こうとせず、私はただ立ち尽くしている。
動かない?
動きたくないんだ。
今すぐ先輩が戻ってくるのを待ってるんだ。
73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/28(月) 00:52:48.35 ID:9usEMUEe0
冗談だよぅ!なんて言って帰ってくるのを待ってるんだ。
一番分かってるだろ。
これも気まぐれだって、そう思いたいんだろう?
そう、こんなこと本当に多くて。
だからだんだん私がリアクションとらないようになっていって。
しびれを切らした先輩が何かしらの行動をとるんだ。
今回だって一緒だ。
すぐ出て行ったところから、また入ってくる。
突っ込めよ!なんて言いながら入ってくる。
私には分かっているんだ、そんなこと。
ちょっといじわるして、その反応が見たいだけなんだ。
今に見てろ。
絶対反応してやらない。
今に見てろ。
そこから入ってくるぞ。
ほら、ほら。
75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/28(月) 00:54:35.88 ID:9usEMUEe0
からからの音は聞こえなかった。
77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/28(月) 00:57:42.45 ID:9usEMUEe0
/ ゚、。 /「…………」
(=゚ω゚)ノ「…………」
( ^ω^)「…………」
ξ ゚听)ξ「…………」
(;^ω^)(気まずい)
(;^ω^)「つ、ツン、このカレー美味しいお!!」
ξ*゚听)ξ「え、本当に?」
( ^ω^)「最高だお。ツンはいいお嫁さんになれるお」
ξ*゚听)ξ「え、そうかな……」
( ^ω^)「ね、イオさん、ぃょぉさん」
気を使ってくれたのだろう。
わざわざ夕食中話のネタを振ってくれた。
79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/28(月) 01:00:01.19 ID:9usEMUEe0
/ ゚、。 /「……うん、私よりも上手だよな」
これは私なりの先輩に対する話の振り方である。
いじられるための種を会話中に放り込んだのだ。
(=゚ω゚)ノ「うん、うまい」
なのに、これも無視だ。
口癖のことだって、色々訊けるじゃないか。
ジュース大好きで、子供舌なのに珍しくお茶もってたことや。
何より四枚目のこと。
/ ゚、。 /「…………」
(;^ω^)(……頑張れブーン)
( ^ω^)「お、そういえば明日の昼ごろにはじーじたちが来ますお」
/ ゚、。 /「長い間世話になったな。連絡先を教えてちょうだい。またお礼をしなくては」
( ^ω^)「いえいえ。ブーンたちも楽しかったですお」
80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/28(月) 01:02:17.90 ID:9usEMUEe0
/ ゚、。 /「先輩、どうするんですか」
(=゚ω゚)ノ「…………」
/ ゚、。 /「先輩」
(=゚ω゚)ノ「……え?」
/ ゚、。 /「いや、だから明日じーじたちが来るそうですけど我々はもう十分ここにいたでしょ。どうするんですか?」
(=゚ω゚)ノ「いや……、もうちょっといようかな。中々自然もいいところだしね」
/ ゚、。 /「いいんですか?」
(=゚ω゚)ノ「まあ上手く喋ればじーじたちから面白い話を聞けるかもしれないよぅ」
尤もだ。
だが、義務的な返事に聞こえる。
/ ゚、。 /「内藤、いいのかい?」
( ^ω^)「ブーンたちは構いませんお。どうせじーじたちが来ても酒の飲み会で終わりですお」
そんなもんなんだろうか。
( ^ω^)「ほとんど月一の飲み会ですお。水霊男爵に挨拶した後は、飲み会、んな感じですお」
明日には先輩は元に戻っているだろうか。
そんなことばかり、考えてしまう。
81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/28(月) 01:03:53.10 ID:9usEMUEe0
ξ ゚听)ξ「口癖って、それどこかの方言ですか?」
ツンがいきなり口を開いた。
彼女のことだ。空気を感じて言ったのだろう。あえて。
(=゚ω゚)ノ「…………」
ξ ゚听)ξ「……ねぇ」
(=゚ω゚)ノ「ん、僕?」
ξ ゚听)ξ「以外いないですよ。昼間の、アレです」
(=゚ω゚)ノ「……いや、家族内だけなんだけどね。おもしろいから外でも使ってるんだよぅ」
ξ ゚听)ξ「へぇ、珍しい」
(=゚ω゚)ノ「じいちゃんは僕がさっき使ってたみたいな喋り方をしているよぉ。こんな感じ」
( ^ω^)「お、お、お、おもしろいですお」
(=゚ω゚)ノ「君も一緒だよぅ」
声にも出さないし、目もそうではない。
まるで残念がるように、口の端だけで笑った。
しょうがない、と何かを享受した人間の諦めに見えた。
85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/28(月) 01:07:07.87 ID:9usEMUEe0
/ ゚、。 /「水霊男爵を調べに来たことはふせておいたほうがいいよな?」
その顔が嫌で、今度は私が口を開く。
(;^ω^)「あ、当たり前ですお」
/ ゚、。 /「あ、ああ、分かっている。ごめん」
だが会話はここで切れてしまう。
そんなこと分かっている。
分かってるのに、何故訊いてしまうのだろうか。
いや、訊くことをしなければ、と思ったのだ。
先輩にどういう風に接したらいいかわからない。
だから、言葉の先を求めていた。無意味な質問に無理やり意味をつけただけだ。
先輩に声をかけるのが怖い。
冷たくされるのが怖くて、どうしたらいいかわからない。
86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/28(月) 01:09:39.34 ID:9usEMUEe0
三日目 おわり
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