1 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/28(月) 22:03:57.05 ID:vHljiGzS0

ぷろろーぐ『暖かな春の日のこと』

/ ,' 3 「……ズズ」

縁側で、暖かな陽射しを堪能しながら茶をすする。
この様な事に幸せを感じられるのは、自分が老いたからだろうか。

日が昇り、雲が動き、垣根に止まった雀が羽ばたき、猫が庭で交尾を行う様。
若い頃には眼もくれなかったそれらが、今の自分にはとても興味深いものに感じられる。
一日中それらを見ていても、退屈と感じないほどに。

数度、星を眺め続けていたら朝になっていた事もあったな。
身体を冷やしたせいで風邪を引き、ババアに怒られてながら暖かい粥を食って……

/ ,' 3 「風邪をうつされたら困る、と言いつつタオルを換えてくれる辺りがツンデレじゃったな」

そんな年を考えないババアも、今はいない。
遠い所に行ってしまった。



4 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/28(月) 22:04:49.10 ID:vHljiGzS0

/ ,゚ 3 「……きたな」

耳が捉えたのは、こちらへと近づく小さな足音。
数秒後、姿を現したのは活発そうな洟垂れ小僧。

(,,゚Д゚) 「じーちゃんげんきかー?」

/ ,' 3 「おうおう、ようきたのう。ギコ」

ギコは縁側に座り、いつもの様にワシの袖を引く。
そして袖で鼻を覆うと、思い切り洟をかんだ。

/ ,' 3「……おぅじーざす」

(,,゚Д゚) 「じーちゃんじーちゃん!いつもみたいにはなしきかせてくれよー!」

ワシの袖と繋がったまま目を輝かせるギコ。
その目に勝てる訳が無い。

/ ,' 3 「おうおう。じゃあ、耳かっぽじってよぉく聞くんじゃぞ」

(,,゚Д゚) 「うん!」

ワシはいつもの様に自分の武勇伝を語る。
小学一年生に上がったばかりの孫の背中で、袖にへばりついた鼻水を拭きながら。



そのいち!

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