192 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/26(土) 17:29:19.79 ID:cvMxCUfc0
 
('、`*川「空に見えるでしょうか! あれが地球を滅ぼす隕石、ヴィップ彗星です!」


全局でテレビ中継されているのは、地球に注ぐ隕石のニュースだった。
テレビでなくても、外に出れば肉眼で見える程、それは近くまで来ていた。


('、`*川「テレビの前の皆様はご存じでしょうが、あの隕石は1時間後に衝突します。
     最後の時間をどう過ごすかは、貴方たち次第です」


リポーターの顔に生気は無い。
それもそのはずだ。避けられない死の運命が待っているのだから。


('、`*川「はあ……」

「元気無いな。どうした?」

('、`*川「あるわけ無いでしょう。これからみんな死ぬんですから」



196 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/26(土) 17:32:28.96 ID:cvMxCUfc0
 
「どうして死ぬんだ?」

('、`*川「さっきも言いましたけど! これから隕石が衝突するんです!」

「ほう」

('、`*川「人類の科学力じゃ、対抗策が無いんです……」

「諦めるなんて、ハードボイルドじゃあないな」

('、`*川「え?」



(´・ω・`)「諦めたらそこでハードボイルド終了だぜ」



最終話「ハードボイルド オブ ハードボイルド」



203 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/26(土) 17:35:08.10 ID:cvMxCUfc0
 
('、`*川「貴方はハードボイルドさん!」

(´・ω・`)「また会ったな」

('、`*川「もしかして、あの隕石を止める策でもあるんですか!?」

(´・ω・`)「ある」

('、`*川「マジかよ!」

(´・ω・`)「マジだぜ。だが難しい。
     俺だけのハードボイルドパワーじゃ、あの隕石は到底止められない」


その言葉を聞いて、リポーターはがっくりと肩を落とした。
しかしハードボイルドは、諦めている訳では無かった。



209 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/26(土) 17:39:49.68 ID:cvMxCUfc0
 
(´・ω・`)「あれを止めるには、地球のみんなのハードボイルドパワーを集めるしかない」

('、`*川「そ、そんな事が可能なのですか!」

(´・ω・`)「ああ。そこのカメラで、全世界に中継する事は出来るか?」

('、`*川「む、無理です。
     世界中のメディアは大混乱していますから、中継出来るのはせいぜい日本内かと……」

(´・ω・`)「そうか……だが、何もやらずに終わるのはハードボイルドじゃない。手伝ってくれるか?」

('、`*川「もちろん! この番組は全国放送されています。すぐにでもカメラを使えますよ」

(´・ω・`)「よし」


こほんと咳を一つして、ハードボイルドはカメラの前に立った。



212 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/26(土) 17:42:36.97 ID:cvMxCUfc0
 

『あー皆さん』

ξ゚听)ξ「あ、この人は……!」

( ^ω^)「知っているのかお?」

ξ゚听)ξ「貴方の……貴方の命の恩人よ!」



『知っていると思うが、今世界は危機的状況だ』

( ゚∋゚)「……」



『あの隕石を止めたい。だが、俺だけの力じゃ無理なんだ』

▼・ェ・▼クゥーン

(,,゚Д゚)「この人は、あの時のハードボイルドさん……」



215 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/26(土) 17:44:46.26 ID:cvMxCUfc0
 

『みんなの力を貸して欲しい』
  _
( ゚∀゚)「……」
 _
(*゚∀゚)「兄貴、こいつ……」
  _
( ゚∀゚)「ああ、わかってる」



『ハードボイルドパワーを分けて欲しい』

(-@∀@)「……」

「……」

「……」

「ハードボイルドさん……」



218 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/26(土) 17:48:31.11 ID:cvMxCUfc0
 

『俺に全てを任せてもいいのなら』
 _、_
( ,_ノ` )「へ……答えは決まってんだよ。なあ母ちゃん?」

ζ(゚ー゚*ζ「ええ。あの人を信じましょう」



(´・ω・`)「俺の事を考えながら、自分が一番決まっていると思うポーズをしてくれ。
      そうすれば、ハードボイルドパワーが俺に集まる」

('、`*川「……」

(´・ω・`)「頼む。もう時間が無いんだ」


祈るような思いだった。
カメラの向こう側で、何人の人間がこの放送を見て、何人の人間が賛同してくれるのか。
地球の運命は、全てそれにかかっているのだ。



221 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/26(土) 17:51:20.48 ID:cvMxCUfc0
 
(´・ω・`)「……」

('、`*川「……」


何も起こらない。
ハードボイルドパワーは、一向に集まってこなかった。


(´・ω・`)「……」

('、`*川「ハードボイルドさん……」

(´・ω・`)「もう一度、放送をして……」


再度呼びかけようとした時、それはやってきた。


(´・ω・`)「お……」

(`・ω・´)「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」



225 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/26(土) 17:55:33.42 ID:cvMxCUfc0
 
('、`*川「どうしたんですか!」

(`・ω・´)「きたきたきたきたあああああああ!!!!!
      みなぎってきたぞおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」


まばゆい閃光が辺りを照らす。
青白い光に包まれたハードボイルドが、空に向かって吠える。


(`・ω・´)「いける!!!! これならあの隕石を吹っ飛ばせる!!!!!」

('、`*川「やった!! 助かるんですね!!!」

(`・ω・´)「いや……待て」

('、`*川「はい?」



(´・ω・`)「どうやって宇宙行くん?」



231 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/26(土) 17:58:40.22 ID:cvMxCUfc0
 
一介のリポーターに、答えられる訳が無かった。


('、`*川「もう……終わりですね」

(´・ω・`)「……」


ハードボイルドの目尻が下がる。
閃光が、徐々に弱まってきた。


(´・ω・`)「!!!」


しかし地球は、ハードボイルドを見捨てはしなかった。



237 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/26(土) 18:01:07.49 ID:cvMxCUfc0
 
 カーカー
(゚<゚ )三 カーカー (゚<゚ )三 カーカー
     カー      カー
  (゚<゚ )三  (゚<゚ )三 (゚<゚ )三
    カーカーカー    カー
 (゚<゚ )三 (゚<゚ )三  (゚<゚ )三
        カーカー   カー
 カー(゚<゚ )三(゚<゚ )三 (゚<゚ )三カー
       カー  カー


おびただしい数のカラスの大群が、空からやってきたのだ。
その身はハードボイルドのそれと同じように、青白い光に包まれている。


(`・ω・´)「お前ら……!」

(゚<゚ )「……」


人と動物を越えた友情。
これは、ハードボイルドだけが成せる奇跡なのだ。



246 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/26(土) 18:03:54.83 ID:cvMxCUfc0
 
(`・ω・´)「じゃあ行ってくるぜ」

('、`*川「ハードボイルドさん……」

(`・ω・´)「必ず……」



(゚<゚ )
  ∩
  (`・ω・´)「必ず帰ってくる」



別れの言葉は、随分とあっさりしたものだった。


('、`*川「はい……待ってます」


話したい事があった。伝えたい言葉があった。
それをぐっと呑んで、リポーターは言った。



250 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/26(土) 18:06:33.01 ID:cvMxCUfc0
 
(゚<゚ )
  ∩
  (`・ω・´)「さあ行ってくれ。行き先は、宇宙だ」


青白い塊となって、彼らは空高く舞い上がった。
リポーターは光が見えなくなるまで、じっと見つめていた。


リミットまで、あと30分。


(`・ω・´)「ぐ……」


大気圏に突入した時、問題が起こった。
あまりの高熱に、体が燃え尽きそうになったのだ。



257 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/26(土) 18:09:09.36 ID:cvMxCUfc0
 
(`・ω・´)「ぐううううう……!」

(゚<゚; )「カー……」

(`・ω・´)「もう少しの辛抱だ……頑張ってくれ……」


ハードボイルドーシールドが無ければ、とっくに灰になっていただろう。
しかしそれも長くは持たなかった。熱によって、体から湯気が立ち上ってくる。


(`・ω・´)「がああああああああ!!!!!!」

(゚<゚; )「クェー!」


皮膚が焼けこげ、黒ずんできた。
カラスの体からはちょっと美味しそうな臭いすら立ちこめる。



263 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/26(土) 18:14:13.58 ID:cvMxCUfc0
 
(`・ω・´)「へへへ……なんて熱い野郎だ……大気圏ってやつはよお」

(゚<゚; )「……」

(`・ω・´)「だが、俺たちの友情はもっともっと熱い。なあ、そうだろ?」

(゚<゚ )「……」


カラスたちは雄々しく鳴くと、さらに速度を増して飛び続けた。


(`・ω・´)「おおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」

(゚<゚#)「クェェェェェェェェェェェェェェ!!!!!!!」


全裸になったハードボイルドと、黒さが増したカラスが気合いを入れる。
すると突然目の前が暗くなる。振り返ると、青々とした地球が見えた。
大気圏を抜けたのだ。



269 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/26(土) 18:17:53.34 ID:cvMxCUfc0
 
(`・ω・´)「やったぜカラスよ!」

(゚<゚ )「カーカー」


当然だ、と言わんばかりに鳴く。


(`・ω・´)「……」


隕石は、ずっと遠くにあるように見えた。
しかし確実に、こちらに近づいてきている。
ハードボイルドは両手を突き出し、力を溜め始めた。


(`・ω・´)「行くぞ隕石この野郎おおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」


体を包み込む青白い光が、手の平に集中する。



271 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/26(土) 18:21:43.34 ID:cvMxCUfc0
 
(`・ω・´)「ハード……」


(`・ω・´)「ボイルド……」


(`・ω・´)「シャイニングスタァァァァァァ!!!!!!!」



一点に集中されたハードボイルドパワーは、その瞬間一気に放たれた。
青白い柱が隕石とハードボイルドを繋ぐ。


(`・ω・´)「おおおおおおおおおおおおおおおお!?」


隕石は想像以上のエネルギーを持っていた。
気を抜けば体ごと吹っ飛ばされそうな勢いだ。



277 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/26(土) 18:24:51.39 ID:cvMxCUfc0
 
(`・ω・´)「負けるものか……負けるものかああああ!!!!!」


懸命に押し返そうとするが、じわじわと隕石は迫ってくる。
分厚い壁がハードボイルドを飲み込もうとしているようだった。


(`・ω・´)「くそ……くそおおおおおおおお!!!!!」


跳ね返されたエネルギーによって、左腕が無くなった。
右腕一本では、支え切れそうに無い。
隕石は速度を増し、ハードボイルドに迫る。



285 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/26(土) 18:31:03.46 ID:cvMxCUfc0
 
(゚<゚; )「カァーカァー!」

(`・ω・´)「へへへ……大丈夫だ。お前は俺の体を支えてればいいんだよ」

(゚<゚; )「……」



『それがハードボイルド』 歌:ハードボイルド斉藤 曲:吉岡

ハードボイルドはくじけない  ハードボイルドは諦めない
ハードボイルドは誰よりも強く  ハードボイルドは誰よりも優しい

それがハードボイルド  君もハードボイルド

ハードボイルドは逃げ出さない  ハードボイルドは従わない
ハードボイルドは誰よりも弱く  ハードボイルドはそれ故に強い

それがハードボイルド  僕はハードボイルド
誰もがハードボイルド  いつだってハードボイルド



290 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/26(土) 18:33:52.70 ID:cvMxCUfc0
 


('、`*川「日本の皆様、天体の動きが弱まってきたようです!
     ハードボイルドが……たった一人のハードボイルドが、地球を救おうとしています!
     お願いします! まだハードボイルドパワーを持っている人は、決めポーズを……!
     決めポーズをして、あの人にパワーを分けてあげてください!」




『お願いします! お願いします!』
  _
( ゚∀゚)「……」
 _
(*゚∀゚)「……兄貴」
  _
( ゚∀゚)「俺も……ハードボイルドになりたかった」
  _
(*゚∀゚)「……」



293 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/26(土) 18:36:58.41 ID:cvMxCUfc0
  _
( ゚∀゚)「ハードボイルドに憧れて、革ジャンとか着てみたりした……」
 _
(*゚∀゚)「……」
  _
( ゚∀゚)「でも実際はどうだ。仕事もせず、遊んでばかり。
     あげく犯罪者になって、豚箱に入れられちまった。
     こんな俺に、ハードボイルドパワーなんてあるわけねえんだ……」
 _
(*゚∀゚)「……あるさ」
  _
( ゚∀゚)「え?」
 _
(*゚∀゚)「兄貴にも、ハードボイルドパワーはあるさ。
     俺はずっと兄貴の背中を見て育ったんだ。その俺が言ってるんだから、間違い無いよ」
  _
( ゚∀゚)「……まだ、間に合うのか」
 _
(*゚∀゚)「思い立ったがハードボイルド……てな」



295 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/26(土) 18:38:46.52 ID:cvMxCUfc0
  _
( ゚∀゚)「……へへへへへ。じゃあ久しぶりにやってみるか!」
 _
(*゚∀゚)「おうよ!」


    _  ∩
  ( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!
  (  ⊂彡
   |   | 
   し ⌒J

   _  ∩
  (*゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!
  (  ⊂彡
   |   | 
   し ⌒J


  _
( ゚∀゚)「弟よ!! 俺って今ハードボイルドか!?」
 _
(*゚∀゚)「ああ! 最高にハードボイルドだぜ!!!!!」



300 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/26(土) 18:42:23.03 ID:cvMxCUfc0
 



(`・ω・´)「ぐうううううううううううううううう……もう……堪えきれない……!!」


右腕一本で支えているのも、限界が近づいていた。
筋肉がちぎれ、右腕全体が青黒く変色している。
隕石は目の前に迫っていて、視界全体を覆っていた。


(`・ω・´)「ん……」


妙な手応えがした。体が軽くなったような、そんな違和感もする。
勘違いかと思ったが、そうでは無かった。
ハードボイルドパワーが、再びみなぎってきたのだ。



309 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/26(土) 18:47:03.68 ID:cvMxCUfc0
 
(`・ω・´)「はははは……はははははははははは!」

(`・ω・´)「よう隕石さんよ……残念だったな」


青白い光が、金色に変わる。


(`・ω・´)「地球は諦めな」


青い光の柱をなぞるように、金色のエネルギー波が隕石へと放たれる。
隕石の地表に、大きな亀裂が何本も走った。
そこから金色の光が溢れてくる。


(`・ω・´)「てめえも随分とハードボイルドな奴だったぜ……」


視界を覆っていた隕石が、一瞬膨れあがったかと思うと、金色の光に包まれた。
光が収まった時、既に隕石は無く、辺りには無の空間が広がっていた。



317 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/26(土) 18:53:01.87 ID:cvMxCUfc0
 
(`・ω・´)「はあ……はあ……!」

(´・ω・`)「……終わったか」

(゚<゚* )「カァーカァー!」

(´・ω・`)「すまねえが、地球まで運んで……く……」

(゚<゚; )「カァー!?」


ハードボイルドは目を閉じて、動かなくなった。
カラスたちがクチバシで突いたり、羽でパシパシと頬を叩いたりしたが、反応は無い。


(゚<゚; )「カァァァァァァァ!!!!」


無くなった左腕から、血液が流れ出ている。体の傍に赤い血の粒が漂っていた。
カラスたちは首や手足をクチバシで挟み、地球の方へ向かって大急ぎで飛ばした。



321 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/26(土) 18:56:23.87 ID:cvMxCUfc0
 


('、`*川「隕石が消滅しました! 皆様、隕石は消滅しました! 地球は助かったんです!」


リポーターは嬉々としてカメラの前ではしゃいでいる。


('、`*川「あ……見て下さい! 英雄が帰ってきました!
     周りの皆様、暖かい拍手で迎えてあげましょう!」


空から、青白い光に身を包んだカラスたちが戻ってくる。
ぴくりとも動かなくなった、ハードボイルドを抱えて。



328 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/26(土) 19:00:32.29 ID:cvMxCUfc0
 

('、`*川「……」

(゚<゚; )「……カァー」

('、`*川「嘘……でしょ。せっかく……助かったのに……」



『こんなの……こんなの全然ハードボイルドじゃないよぉ……』
  _
( ;゚∀゚)「ちくしょう……俺がもう少し早く決めポーズをしていれば……」
 _
(*゚∀゚)「兄貴のせいじゃないよ……」



『帰ってくるって言ったじゃない……これで約束を守ったとでも言うの……?』
 _、_
( ,_ノ` )「あの野郎……最後まで格好つけやがって……ちくしょう……」

ζ(゚ー゚;ζ「……」



331 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/26(土) 19:04:11.47 ID:cvMxCUfc0
 

『嫌……嫌ぁぁぁ!』

「くそったれ!」

「吉岡さん……落ち着いて下さい」

「これが落ち着いていられるか!」

「ハードボイルドは、取り乱さない」

「み、三吉さん」

「三吉さん……」

「こんな時、我々がハードボイルドじゃなくて、どうするというんですか」

(-@∀@)「……」


(-@∀@)(ハードボイルド先生。貴方の精神は、確かにここで生きています……)



334 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/26(土) 19:06:28.65 ID:cvMxCUfc0
 

『お願い……貴方に伝えたい事があるのよ……』

▼・ェ・▼ワン! ワンワンワン!

(,,゚Д゚)「……貴方は、最高のハードボイルドでした」



『もっといろんな事をしたかった……』

ξ;凵G)ξ「……」

( ^ω^)「……」

ξ;凵G)ξ「ブーン……お願い。抱きしめて……」

( ^ω^)「……うん」



339 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/26(土) 19:10:10.94 ID:cvMxCUfc0
 

『どうしてよ……だって貴方は……ハードボイルドなのに』

「ち……こんなもんかよ。お前のハードボイルドはこんなもんかよ!」

「……」

「見損なったぜ……」



(;、;*川「誰か……誰か助けて! 誰かこの人を助けてあげて!!!」


名乗り出る者は、誰もいない。
こんな時、いつも助けてくれたのは、そこで横たわっているハードボイルドだった。


(;、;*川「嫌……嫌ぁ……」

「……」



348 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/26(土) 19:14:12.05 ID:cvMxCUfc0
 
「女の泣き顔は、好きじゃあないな」

(;、;*川「……?」


声をかけてきたのは、貧相な顔の男だった。
ハードボイルドの横に腰を下ろすと、彼の胸にそっと手を当てた。


「これはやばいな……心臓が全然トクントクンしてねえ」

(;、;*川「だ、誰ですか……?」

「医者じゃねえ事は確かだな」


男は胸に両手を重ねて、口の中で何かを呟いた。
柔らかな光が、男の両手から溢れてくる。


「ハードボイルド心臓マッサァァジ!」



354 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/26(土) 19:17:26.48 ID:cvMxCUfc0
 
(;、;*川「は、ハードボイルド……?」


閃光が大きくなり、辺りを覆う。
視界が真っ白になり何も見えなくなった。


('、`*川「……?」

('、`*川「!」


光が収まった時、既に男の姿は無かった。
周りを見渡しても、影も形も無い。


「……んん」

('、`*川「え?」

(´・ω・`)「……ん?」

('、`*川「ハードボイルドさん!」



357 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/26(土) 19:20:49.05 ID:cvMxCUfc0
 
奇跡だった。心臓が止まっていたハードボイルドが、息を吹き返したのだ。
リポーターは口に手を当てて、目から大粒の涙を流している。


(´・ω・`)「……」

(;、;*川「良かった……良かった……」

(´・ω・`)「女の泣き顔は、好きじゃあないな。でも……」


(´・ω・`)「嬉し涙は、別だよ」


二人はお互いの存在を確かめ合うように、ぎゅっと抱き合った。



361 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/26(土) 19:27:01.41 ID:cvMxCUfc0
 
(´・ω・`)「あ……腕が治ってる」

('、`*川「え、ああ……本当だ」

(´・ω・`)「……ふん。あいつか」


かつて戦場で、命をかけて戦ったあの者の顔が浮かんだ。
作詞が得意で、敵に歌を送りつける事が大好きな、あのハードボイルドの顔が。


(´・ω・`)「さあ、行こう」

('、`*川「うん」


二人は手を取って駆けだした。行き先は決まっていない。
ハードボイルドがする事に、理由などいらないのだ。
それが、ハードボイルドというものなのだから。



365 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/04/26(土) 19:29:24.59 ID:cvMxCUfc0
 





                  それが分かれば
                  君もきっと――




(´・ω・`)ショボンはハードボイルドのようです  完



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