- 3 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2008/06/29(日) 21:19:28.99 ID:YQ2tNSrqO
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紫陽花が咲き乱れる夏の近い雨の事
赤い紫陽花の生け垣の中
ぽつん、と一つ青い花
禿(かむろ)っ子は問う
「おいらん、どうしてあれだけ青いのか?」
にぃ、と笑って花魁は答える
lw´‐ _‐ノv春の日々、のようです
『花言葉は、“無情”』
「紫陽花の下には、腐らぬ死体が埋まっとりんす」
- 4 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2008/06/29(日) 21:21:18.22 ID:YQ2tNSrqO
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上半身を床に、下半身を寝台に乗せると言う奇妙な格好をした女。
藤色が似合う目の細い花魁“しゅう”が、口を半開きにして天井を見上げていた。
ぼけー、と腕を広げて間抜け面を晒すしゅうの部屋へ、小さな足音が二つ近づいてくる。
(*゚ー゚)「しゅう花魁、お暇なら遊び……何してらっしゃるんですか」
ζ(゚ー゚*ζ「おいらぁん……わー、あほづらー」
(*゚ー゚)「さすがにそれは酷いよ、でれちゃん……」
ζ(゚ー゚*ζ「だってー、おいらぁん、口にネズミ詰め込んでいい?」
lw´‐ _‐ノv「だめ」
ζ(゚ー゚*ζ「けちー」
(*゚ー゚)「なんでそんなに鬼畜なの、でれちゃん」
lw´‐ _‐ノv「もう詰め込んじゃいかんぞ、お稚児や」
(;*゚ー゚)「詰め込まれた事あるんですか!?」
lw´‐ _‐ノv「あの時は稲子であった、生きてる」
(;*゚ー゚)「うわぁ……」
- 6 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2008/06/29(日) 21:23:00.00 ID:YQ2tNSrqO
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(*゚ー゚)「で、え、あぁ……花魁、今お暇でしたらちょっと遊んでくださいなっ」
lw´‐ _‐ノv「花魁に向かって暇か、とは……茶を挽く様に見えるかえ?」
(;*゚ー゚)「あ、ちがっ、そうじゃなくって」
ζ(゚ー゚*ζ「今のおいらんは暇そうだしあほづらですよぉ」
(;*゚ー゚)「だから! でれちゃんはもう!!」
lw´‐ _‐ノv
lw´つ_⊂v しくしくしく
(;*゚ー゚)「泣いた! 花魁泣かせちゃった!」
ζ(゚ー゚*ζ「うそ泣きー」
lw´‐ _‐ノv 、 チッ
- 7 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2008/06/29(日) 21:25:05.17 ID:YQ2tNSrqO
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(;*゚ー゚)「うそ泣きかいっ!!」
lw´‐ _‐ノv「ほっほっ、しぃは素直に阿呆で可愛らしい。わっちの禿とは大違い」
(*゚ー゚)「あ、ありが……ん? 何となく素直に喜びにくい……」
ζ(゚ー゚*ζ「おいらん蹴っていいー?」
lw´‐ _‐ノv「だめ」
(*゚ー゚)「いや、蹴りなさんな……だからぁ! お暇ならぁ!」
lw´‐ _‐ノv「ああはいはい、遊んでほしければわっちを運べ」
(*゚ー゚)「……運べ?」
lw´‐ _‐ノv「うむ、構え、わっちに構え」
(*゚ー゚)「…………」
lw´‐ _‐ノv「別に、最近は暇が多かったからと寂しい訳ではありゃあせん」
(*゚ー゚)「なに拗ねてんですか……」
- 9 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2008/06/29(日) 21:27:32.73 ID:YQ2tNSrqO
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lw´‐ _‐ノv
lw´‐ _‐ノv「拗ねてやせん」
(*゚ー゚)「はいはい……じゃあ下に行きましょう?」
lw´‐ _‐ノv「運ぶがよいよい」
(*゚ー゚)「もぅ……」
寝転がるしゅうの両腕を掴み、引き摺りながら二人のお稚児が後ろ歩き。
ずるずる、と身を任せるしゅうが、ふと何かを思い出した。
lw´‐ _‐ノv「……先程、“下に”と言わなんだかえ?」
ζ(゚ー゚*ζ「階段ですよぉ」
(*゚ー゚)「頭打たないで下さいねー」
lw;‐ _‐ノv「む? ちょ、待、お稚児」
- 11 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2008/06/29(日) 21:29:35.11 ID:YQ2tNSrqO
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ずっ どん! ごっがっ!
lw; _ ノv に゙ゃー!!!!
どどどどどどどんっ!!
lw; Д ノv ぬわー!!!!
ごっ! どさんっ!! うわおっ!?
(*゚ー゚)「あちゃー落ちた」
ζ(゚ー゚*ζ「見事な階段落ちぃ」
(*゚ー゚)「生きてるかなー……」
ζ(゚ー゚*ζ「わっはっはっ、ざまぁみろですよぅ」
(*゚ー゚)「でれちゃん、いつか酷い目に会うと思うよ……」
ζ(゚ー゚*ζ「いつものことだよー」
(*゚ー゚)「しゅう姉さんに恨みでもあるの?」
ζ(゚ー゚*ζ「仲良しだよー」
(*゚ー゚)「うそくさぁ」
- 13 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2008/06/29(日) 21:31:26.97 ID:YQ2tNSrqO
-
lw´x _xノv きゅう
(*゚ー゚)「しゅう姉さん、しゅう姉さん、大丈夫ですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「つんつん」
(*゚ー゚)「……死んだ…?」
ζ(゚ー゚*ζ「うふふー」
(*゚ー゚)「怖いよ」
( ^ω^)
( ^ω^)「何してるんだお……」
(*゚ー゚)「うわっ!?」
ζ(゚ー゚*ζ「あ、いたんですかぁ」
( ^ω^)「階段を上ろうとしたら、しゅうが落ちてきたんだお」
(*゚ー゚)「あ、引っ張ってたら落ちちゃって……」
ζ(゚ー゚*ζ「なかばわざと落としたからぁ」
- 14 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2008/06/29(日) 21:33:13.00 ID:YQ2tNSrqO
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(;*゚ー゚)ζ(゚ー゚*;ζ
(#^ω^)
ぱしーん! ぱしーん!
ごめんなさぁあああいっ!!
ぱしーん! ぱしーん!
うみゃあああああんっ!
ぱしーん! ぱしーん!
ごめんなさいもうしませんっ!
悪い子にはお仕置きだお!!
でれちゃんのアホぉおうっ!!
ぱしーん! ぱしーん! ぱしーん!
(*´_ゝ`)「おお、幼女の尻叩き……」
- 15 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2008/06/29(日) 21:35:03.62 ID:YQ2tNSrqO
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(*つー;)「でれちゃんのアホぅ……アホぅ……」
ζ(;ー⊂*ζ「だってぇ……おしりいたいよぉ……」
(*゚ー゚)「私もいたいから」
ζ(゚ー゚*ζ「えへー」
(#゚ー゚)ζ(゚ー゚;ζ
lw´‐ _‐ノv「う、ぬぅ……」
ζ(゚ー゚;ζ「あっ、お、おはようございまぁす!」
lw´‐ _‐ノv「わっちは……一体、?」
ζ(゚ー゚;ζ「あのっえとっんとっ……落ちたんです! 階段からぁ!」
lw´‐ _‐ノv「何故に?」
ζ(゚ー゚*ζ「落としたからぁ!」
ζ(゚ー゚;ζ ハッ
- 19 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2008/06/29(日) 21:36:59.87 ID:YQ2tNSrqO
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ぱしーん! ぱしーん! ぱしーん! ぱしーん! ぱしーん! ぱしーん! ぱしーん! ぱしーん! ぱしーん! ぱしーん! ぱしーん! ぱしーん! ぱしーん! ぱしーん! ぱしーん! ぱしーん! ぱしーん! ぱしーん! ぱしーん! ぱしーん! ぱしーん!
ζ(;ー;*ζ「うぇぇぇぇぇぇ……」
(;゚ー゚)「あ、えっと……ごめんなさい、花魁……」
lw#‐ _‐ノv「うむ」
己の禿の尻をしこたま叩き終わり、しゅうはたん瘤の出来た後頭部を撫でながら歩き出す。
僅かに怯える幼子と尻を撫でて泣きじゃくる幼子の手を引き、板張りの廊下をぎしぎしと。
外では弱くはない雨が降り頻り、空気に重みを与えるばかり。
暫し歩く三人の足が止まったのは、湿気の多い裏口の側にある縁側で。
座布団も敷かずに、しゅうはその場に座り込む。
- 20 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2008/06/29(日) 21:39:06.81 ID:YQ2tNSrqO
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足を崩してしんなりと座る花魁の隣に、ちょこんと腰を下ろすは二人のお稚児。 片方は尻を庇いながら、そぉっと座った。
(*゚ー゚)「えぇと……はい、お手玉と御弾き持ってきました」
lw´‐ _‐ノv「うむ、ほれお稚児や、何時までも泣いておらずに。何か持ってきたのかえ?」
ζ(;ー;*ζ「ぐずっ……塩……」
(*゚ー゚)「……塩?」
ζ(゚ー゚*ζ「うん」
lw´‐ _‐ノv「……蛞蝓か……」
黒いおかっぱの幼子が袂から小さな包みを二つ取り出し、ふわふわ二つくくりの幼子は小さな紙の包みを取り出した。
それを姉女郎に差し出して、にっこりと笑う。
lw´‐ _‐ノv「えー……沓脱ぎ石の横辺りに……おお居た居た」
(*゚ー゚)「うわ、おっきい蛞蝓」
lw´‐ _‐ノv「こやつに塩を、ちょいちょい、と」
ζ(゚ー゚*ζ「とけてるとけてるー、きもちわるーい」
- 22 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2008/06/29(日) 21:41:29.11 ID:YQ2tNSrqO
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lw´‐ _‐ノv「うりうり、これでもか」
(*゚ー゚)「しゅう姉さん、蛞蝓に盛り塩しないで下さい」
ζ(゚ー゚*ζ「ナメクジ気持ちわるぅい」
(*゚ー゚)「でれちゃんがさせてるのに……」
lw´‐ _‐ノv「む、溶けて見えなくなった……死んだか……」
ζ(゚ー゚*ζ「なむなむです」
lw´‐ _‐ノv「故蛞蝓の冥福を」
(*゚ー゚)「塩をかけても溶けるだけで死にませんよ、蛞蝓」
lw´‐ _‐ノvζ(゚ー゚*ζ
(*゚ー゚)「あと、生き物で遊ばない」
lw´‐ _‐ノv「ごめんやっしゃ」
ζ(゚ー゚*ζ「ごめんなさぁい」
- 24 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2008/06/29(日) 21:43:35.10 ID:YQ2tNSrqO
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塩を仕舞って、お手玉を。
お手玉を仕舞って、御弾きを。
御弾きを仕舞って、塩を。
何度も何度も繰り返し、三人は出しては仕舞いを繰り返して遊ぶばかり。
幼子らと遊んでやると言うよりは、何処か幼子らに遊ばれていると言った具合の花魁しゅう。
二度目の御弾きと三度目のお手玉と四度目の塩を遊び倒した所で、ふと、しぃが顔を上げた。
(*゚ー゚)「……」
lw´‐ _‐ノv「如何にした、お稚児よ」
(*゚ー゚)「しゅう姉さん、あれは?」
lw´‐ _‐ノv「む?」
(*゚ー゚)「あの赤い生け垣、アジサイですよね?」
lw´‐ _‐ノv「うむ、見事な紫陽花の川である。しかししかし、それが如何にした?」
(*゚ー゚)「一本、青い花を咲かせている木があるんです」
- 25 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2008/06/29(日) 21:45:55.09 ID:YQ2tNSrqO
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幼子しぃが指差すは、手入れの行き届いた紫陽花の生け垣。
赤い川の様に、見事に咲き乱れる花々は雨の滴を全身に受けて、きらきらとその赤をきらめかせていた。
しかし赤がつらつら続くその中に、ぽつり、しんなり浮かぶ青い花。
鞠の様にまるっこく作られた、数個の青い花の塊。
それは赤い花達に囲まれているにも拘わらず、埋もれる事無く己の存在を人々の目に知らしめていた。
ζ(゚ー゚*ζ「わ、ほんとだぁ、あそこだけ青いねぇ」
(*゚ー゚)「他の花は赤いのに、何でだろ……しゅう姉さん、ご存じですか?」
lw´‐ _‐ノv「ぬ? あぁ、────」
問われたしゅうが、視線を花から目の前の幼子に戻し
何かを思い付いた様に、にぃんまりと笑って見せた。
lw´‐ _‐ノv「青い紫陽花の下には、腐らぬ死体が埋まっておるのだよ」
- 26 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2008/06/29(日) 21:47:34.60 ID:YQ2tNSrqO
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(*゚ー゚)「した、い……?」
lw´‐ _‐ノv「そう、死体が」
(*゚ー゚)「何で、腐らない死体? 死体は腐って喰われて骨になって土にかえるんでしょう?」
lw´‐ _‐ノv「そうさな……紫陽花の下に埋められた死体は罪人か、酷い後悔を背負っているのだ」
ζ(゚ー゚*ζ「無念がいっぱい?」
lw´‐ _‐ノv「そう、だから死体も腐るに腐れぬ、しかし土にはかえらねばならぬ。死んでも死にきれんと言う、あれ」
(*゚ー゚)「何だか、可哀想……」
lw´‐ _‐ノv「だから梅雨時になると己の無念を知らしめる為に、ああやって青い花を咲かせているのだよ」
(*゚ー゚)「うぁ……幽霊の類いって、よく分からない理由で出てきますねぇ……」
lw´‐ _‐ノv「死体が朽ちねば行くべき処にも行けず、ずうっと、冷たく暗ぁい土の中……」
ζ(゚ー゚*;ζ「や、やだぁそんなの……」
(;*゚ー゚)「怖いし悲しいし、やだね……」
lw´‐ _‐ノv「だからお稚児らも、後悔や罪を背負うのは止めるがよいよい。元気に健やかに育ちなされ」
(*゚ー゚)「はい!」
ζ(゚ー゚*ζ「はぁい!」
- 27 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2008/06/29(日) 21:49:06.72 ID:YQ2tNSrqO
-
lw´‐ _‐ノv「うむうむ、さあそろそろ片付けなされや、わっちはこれから忙しい」
(*゚ー゚)「はーい! じゃあ花魁、ありがとうございました!」
ζ(゚ー゚*ζ「おいらぁん、またねー」
のっそりと立ち上がり、二人の幼子の頭を撫でてからその場を立ち去る紫の女。
口からの出任せをあっさり信じた二人を思い出すとにやけ笑いが収まらず、緩む口許を袖で隠しながら軽い足取りで廊下を行く。
くっくっ、と込み上げてしまう笑いを何とか飲み込もうと両手で口許を覆う。
と、目の前の曲がり角から、誰かが姿を現した。
lw´‐ _‐ノv「ぬ?」
('A`)「あ、花魁……どうなすったんです? えらく楽しそうに……」
lw´‐ _‐ノv「いや、実はなどくおよ」
冴えない顔をした細い男の姿を見るや否や、しゅうは笑みを濃くし、つつつと歩み寄って耳元に唇を寄せた。
声だけではなく暖かな吐息を耳に吹き掛けられていながらも、どくおは顔色一つ変えずに内緒話に耳を傾ける。
そしてしゅうが先刻の出来事を説明し終わり、にんまり。
- 28 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2008/06/29(日) 21:51:02.70 ID:YQ2tNSrqO
-
(;'A`)「はー……また微妙に上手い事……」
lw´‐ _‐ノv「ふっふっふっ、見せてやりたかったわ、あの純真無垢なお稚児らの顔を」
(;'A`)「地味ィに性格悪いですよね……」
lw´‐ _‐ノv「埋めるが、よいか?」
(;'A`)「良くないです、すいやせん」
lw´‐ _‐ノv「しかし、何故に青い花が咲いていたやら。地質の違いであろうか、それともやはり……」
('A`)「まっさかァ、地質でやんしょ?」
lw´‐ _‐ノv「と、思いたい」
(;'A`)「怖い事ァ言いっこなしですよ……」
lw´‐ _‐ノv「けれど掘り返してみなければ分からぬ、もしかしたら本当に死体があるやも知れぬ」
(;'A`)「何で武雲屋に死体が埋まってるんですか……」
- 30 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2008/06/29(日) 21:53:19.24 ID:YQ2tNSrqO
- lw´‐ _‐ノv「ふむふむ、ううむ確かに、此処に死体とは寺に生臭の様な不釣り合いさ」
('A`)「寺に生臭は結構ありやすけどね」
lw´‐ _‐ノv「あるべきではないが、あるのもおかしくはない。しかし実際は存在しない」
('A`)「ああ……面倒臭いですねそれ」
lw´‐ _‐ノv「うぬ。……ん?」
('A`)「んぇあ? あ、」
((( ^ω^)ほんほんえーい
('A`)「旦那ァ」
(^ω^ )「お? おっおっ、二人ともこんな所で何してるお?」
lw*- _-ノv「逢い引きを少々……」
('A`)「勘弁して下さい。実はさっき花魁が……花魁?」
lw#‐ _‐ノv
- 31 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2008/06/29(日) 21:55:32.42 ID:YQ2tNSrqO
-
ぱしーん! ぱしーん! ぱしーん! ぱしーん! ぱしーん! いたいいたい! ぱしーん! ぱしーん! ちょ、何ですかいきなり!?
ぱしーん! ぱしーん! ぱしーん! ぱしーん! やめ、も、いやあああああ!! ぱしーん! ぱしーん! ぱしーん! ぱしーん! なむなむだお ぱしーん! いてぇお!
lw´‐ _‐ノv「さて」
(; A )「尻が……尻が腫れる……」
(#)^ω^)「何で殴られたのか分からんお……」
lw´‐ _‐ノv「ぶーんは勢い、すまぬ」
(#)^ω^)「いや、うん……で、何だお?」
lw´‐ _‐ノv「かくかくしかじかなめなめくじくじ」
( ^ω^)「なるほど」
(;'A`)「おおいてェ……あ、んで武雲屋に死体なんざァ似合いませんねって話で」
( ^ω^)「まー確かに似合わんおね、今の武雲屋には」
lw´‐ _‐ノv「……今の、とは?」
( ^ω^)「その話は年寄りにはしない方が良いお、と言うか、あまり広めない方が良いと思うお」
('A`)「……旦那? あの、どうしたんで…?」
- 33 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2008/06/29(日) 21:56:58.72 ID:YQ2tNSrqO
-
lw´‐ _‐ノv「あれは、わっちの嘘でありんすよ?」
( ^ω^)
( −ω−)=3
( ^ω^)「…………あながち、嘘って訳じゃないんだお」
lw;‐ _‐ノv (;'A`) え?
( ^ω^)「……武雲屋先代は厳しい人で、粗相をした女郎達を仕置きにかけては、うっかり死なせてしまう事も少なくなかったんだお」
(;'A`)「え゙」
( ^ω^)「この遊郭も昔は治害法権と言っても良いくらいで、仕置きでうっかり……位なら、ある程度は奉行所にも黙認されてたんだお」
lw;‐ _‐ノv「え゙」
( ^ω^)「遊女達を殺せば遊郭一ってのが、この武雲屋だったんだお……その死体を全部寺に投げ込む訳にもいかず、ここの庭に……」
lw; _ ノv
(; A )
- 34 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2008/06/29(日) 21:58:26.67 ID:YQ2tNSrqO
-
( ^ω^)「まあ僕はそんなのまっぴらだから、仕置きは尻叩き百回くらいですませるお」
(;'A`)「いや、それはそれで……」
( ^ω^)「ま、だからその話は昔を知る年寄り連中には話さない方が良いお、ぐちぐち昔話聞かされたり嫌な目に合いかねないから止めときなさいお」
lw;‐ _‐ノv「……う、ぃ」
( ^ω^)「さて、つまらん事話しちゃったお。この事は他言無用だお?」
(;'A`)「はい!」
lw;‐ _‐ノv「はい!」
( ^ω^)「じゃ、今日もお仕事頑張るおー!」
(((( ^ω^)ほんほんえーい
lw;‐ _‐ノv「……」
(;'A`)「……」
lw;‐ _‐ノv「忘れるが、よいよい…?」
(;'A`)「へい……」
- 36 名前: ◆tYDPzDQgtA 投稿日:2008/06/29(日) 22:00:32.00 ID:YQ2tNSrqO
-
ふらふら、と心此処にあらずで別れた二人。 しゅうはぼんやりしつつ階段を上り、途中何度か転げ落ちそうになったが、何とか己の部屋へ戻って行った。
部屋に入ったしゅうは歩きながら寝台の上に転がる枕をひょいと取って、窓へ。
硝子の窓を開け、未だ雨が降る外の世界に視線をやる。 雨の粒を一つ一つ見る様に視線を徐々に下ろして行けば、目に入るのは紫陽花の生け垣。
lw´‐ _‐ノv「……」
枕をぎゅうと胸に抱き、端を噛みながら眼下の青い花をぼんやり眺める。
あの青い花の下には死んだ女が居ると言う
その死体は腐る事無く、梅雨時には花を咲かせちゃ散るばかり
皮肉な事に、遊女は死しても花を咲かせる物らしく
涙雨 揺らす紫陽花 女郎花
その花の言葉は、無情。
おしまい。
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