- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/12/07(金) 17:12:26.69 ID:M0BI5SzD0
- 山荘の入り口には、ショボンがぽつりと立っていた。
『VIP山荘』と書かれた看板に寄りかかるようにしてこちらを見ている。
僕は彼に近づくと、窓を開けて挨拶した。
('A`)「おう。何してんの?」
(´・ω・`)「おでむかえ。何、新しい彼女?」
ショボンは窓から覗き込むようにしてハローに小さく手を振った。
ハローも手を振ってそれに応じる。
そんなわけないだろ、と僕は言った。
('A`)「出演者なんじゃないの。
さっきそこで拾ったんだ。ここに行くって言っていた」
(´・ω・`)「外国人?」
('A`)「見ればわかるだろ」
(´・ω・`)「うん。
でも、山荘にはバリバリの巻き巻きの金髪なのに
ネイティブジャパニーズな女の子がいるからね」
ふーん、と僕は中途半端な声を出す。
ふと思いつき、煙草もってないかと僕はショボンに訊いてみた。
(´・ω・`)「持ってないよ。持ってくるなって言われたろ?」
だよね、と僕は呟いた。
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/12/07(金) 17:15:26.47 ID:M0BI5SzD0
- ショボンは断りなしにカローラの後部座席に乗り込んできた。
('A`)「何? どっか行くの?」
(´・ω・`)「うん、駐車場にね。
ここの駐車場には、駐車上の注意があるんだ」
ショボンはそう言い、小さく笑った。
僕からは苦笑いしかでてこない。
ハローが僕たちのやりとりを不思議そうに眺めていたが、
いちいち英訳したりはしなかった。
ショボンのナビゲートに従って駐車場に辿りつくと、
そこには見慣れないベンツが停まっていた。
つまり、僕たち劇団員ではない人物のものなのだろう。
(´・ω・`)「あのメルセデスから離して停めるんだ」
ショボンは後部座席から身を乗り出し、
Sクラスのベンツを指さしながらそう言った。
なんで、と僕は素朴な質問を口にする。
(´・ω・`)「爆発するからさ」
ショボンは当たり前のことのようにそう言った。
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/12/07(金) 17:18:04.40 ID:M0BI5SzD0
- 爆発するんだ、と僕は呆けたような声を出した。
それを聞いたショボンは笑い、
車は爆発するもんだ、と格言を引用するような口ぶりで言った。
なになに、とハローが好奇心いっぱいの目を向けてくる。
('A`)「That car will explode.(あれ、爆発するんだって)」
僕はベンツを指さしながらそう言った。
ワーオ、とハローが少し興奮した声を出す。
それを聞き、ワーオ、とショボンが少し興奮した声を出した。
(´・ω・`)「英語だ、すげー。洋モノだ!」
('A`)「洋モノゆーな」
(´・ω・`)「いやー、僕はじめてだよ。
名前何ていうの? What's your name ?」
ショボンは身を乗り出してハローにそう訊いている。
やがて名前を聞き出したショボンは、
ハローね、ハローさん、と何度か呟いていた。
(´・ω・`)「I'm Shobone. Glad to meet you, Ms Hollow !
(僕はショボン、よろしくハローさん!)」
これであってるかな、とショボンは僕に訊いてきた。
たぶんね、と僕は返事する。
ハローはそのやりとりが少し気になっているようだった。
- 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/12/07(金) 17:21:08.76 ID:M0BI5SzD0
- ('A`)「He said he's erecting.(こいつ、勃起しちゃったってさ)」
だから、僕はショボンを指さしてそう言った。
ワーオ、とハローがニヤ笑いを浮かべてショボンを横目に見る。
(;´・ω・`)「なに? え、なに?
ドクオ、君、何言ったのさ」
('A`)「うん。気に入ったみたいだったから、
代わりに告っといてやったよ」
(;´・ω・`)「それは嘘だろ。本当は何を言ったんだ」
僕はショボンの追求をはぐらかしながら、
空いているスペースの中で最も安全だと思われるところに駐車した。
車から降りても、ショボンはまだオタオタしている。
('A`)「英語、勉強しといた方が良かったな?」
僕はニヤつきながらそう言った。
ショボンは僕を睨みつけている。
('A`)「ヒントをやろう。彼女は今、お前のどこを見てるかな?」
ハローは、明らかにショボンの股間を見ていた。
(;´・ω・`)「お前、マジ何言ったんだ!」
僕とハローは顔を見合わせ、大いに笑った。
- 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/12/07(金) 17:24:04.67 ID:M0BI5SzD0
- 無事にショボンの名誉を挽回した僕たちは、
VIP山荘へ向かう前に、爆発する予定のベンツを観察することにした。
('A`)「爆発ってさ、いつすんの?」
僕は窓から車内を覗き込みながらそう言った。
運転席の革張りのシートは何の変哲もなかったが、
このベンツには助手席がついていない。
(´・ω・`)「あれだよ。殺人事件が起こって一同騒然、
俺はここから出て行くぞパターンだ」
('A`)「ああ、キー回したら爆発、ってやつ?」
(´・ω・`)「そうそう。
だから、ここで死ぬのはこのメルセデスの持ち主ってことになるね」
誰かはまだわからないけど、とショボンは言った。
('A`)「そいつはどうやって脱出すんの?」
(´・ω・`)「助手席がないだろ。
よく見ると、底が扉になっている」
車内を指さし、ショボンは言った。
再び注意深く見てみると、わずかに取っ手のようなものが見えている。
(´・ω・`)「あの下には、マンホールのように穴が開いているんだってさ。
キーを回したら30秒後に爆発するから、
回した人は素早く穴を伝って逃げるように、とのことだった」
- 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2007/12/07(金) 17:26:30.63 ID:M0BI5SzD0
- 山荘にはモララーとクーがいた。
僕の元友人と、元恋人だ。
挨拶をしてきたので、僕も彼らに挨拶を返した。
このツーショットを改めて目の当たりにしているにもかかわらず、
僕は意外と普通だった。
モララーが声を上げると、奥から女の人が出てきた。
バリバリの巻き巻きの金髪である。
僕は思わず隣のハローと見比べた。
ξ゚听)ξ「こんにちは。あなたがドクオさん?」
そうだ、と僕は頷く。
ξ゚听)ξ「Ms Hallow ?」
イエス、とハローは頷いた。
ξ゚听)ξ「あたしはツン。よろしくね。
じゃ、揃ったことだし、
これからやってもらうことを説明します」
僕たちはツンに促されるままソファに腰掛けた。
なかなか座り心地の良いソファだった。
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